May-June 2012 ◎ Fitness Business 6069フィットネス業界の未来特 集Featureるはずです。バブル期に建てられた20年以上経つ物件と直近5年未満の物件は、イニシャルコスト過多から不採算となっているクラブが多いため、運営者はできれば退店したいと考えています。ほぼ退店条件通りにそれが履行され、次に入居する運営者も決まっていれば、土地・建物オーナーもダメージは少ないですし、新しい借り手も有利な条件で入居することができますから、この継承マーケットは今後さらに広がることでしょう。ここで大切になるのは、次に入居する運営者の運営力です。私は、大手より、中小・ベンチャーとして修羅場を経験していて、かつきめ細かな運営ができる会社が向くと思います。そういう会社なら、かなりの利益を安定してあげるようにすることができます。私もしばらくして事業が一段落したらエントリーも視野に入れていきたいと思っています。ビジネスモデル・イノベーションフィットネスクラブの収益構造はもう何十年も変化がありません。特に既存企業はここを変えなければ存続は難しいでしょう。例えば、現在売り上げ5億円のフィットネスクラブがあったとすると、会費収入はおよそ4.5億円、会費外収入はおよそ5,000万円程度でしょう。この4.5億円の売上高を落とすことなくそのままに、会費外収入を2億円くらいまでもっていき、併せて利益率を2桁にするような構造に変えていくのです。現在のフィットネス業界はクラブ数が増えても会員数と売上高がほぼ横ばいの状態が続いています。客単価もコスト構造もそれほど大きくは変わっていないわけですから、ここから想像できることは、利益水準が大きく落ち込んでいるだろる若者が増えないといけないと思いますし、学生を教える指導者ももっと質を上げなくてはいけません。今、盛んに報道されているソニーやシャープ、パナソニックなど電機業界の不振は、円高やデフレといった自己コントロールできない要因に影響を受けたことは事実でしょう。翻って、我々フィットネス業界にはこうした業績に悪影響を与える、自らコントロールできない要因があるかというと、私はほとんどないと思うのです。ということは、自らが努力すればまだまだ成長できるということです。今の若者たちも実力さえあれば十分活躍できる可能性があるのです。また、業界のリーダー層にも伝えたいことがあります。プライドや成功経験、既成の価値観などを捨てて、どんなことでも新しいことに積極的にチャレンジしてほしいということです。それらプライドと経験が業界の成長を邪魔していると私には思えてならないのです。それから、チャレンジする人や失敗した人たちにもっと寛容でいてほしいということもいいたいです。これからの時代は3C or dieとなります。3Cとは「Change」「Challenge」「Create」のことです。そのことをリーダーこそがまず強く認識すべきです。立地・施設・料金といった開発中心の過去のマーケティングパラダイムはもう通用しません。むしろ業界が成長するためにはそのように変えていかなければならないと私は思っています。かつては物件が成立しそうもないといわれた立地でも成立するような、ソフト優位のビジネスモデルを創出しなければいけないでしょう。その覚悟をもつことこそ、日本に広くフィットネスを浸透させるうえで本当に必要なことだと思います。うということです。この状態が続くとどんどん労働環境が悪くなっていくだろうことも容易に想像できます。仮に客単価を落とした業態が数多く出店し、会員数を増やすことができたとしても、市場規模を含め、この状態はそれほど変わることはないでしょう。我々の業界に身を置く方の多くは参加率にばかり視点が向いています。私は参加率が伸びても、市場が成長しなければ、業界で働く方々の幸福度は上がらないと考えています。もっと規模の成長を考えなければ、従業員は疲弊するばかりだと思います。だから、既述の通り会員数やクラブ数ばかりを追うのではなく、会員数と会費単価はそのままに、会費外収入を高めて客単価そのものを高め、さらにそのなかで利益率も高めていく方向性をとることが望ましいと考えるのです。前職時代、私は売上高に占める会費外収入比率を一般的な付帯商品のほか、骨盤関連サービスやサプリメント、保険商品などを投入し、1年で7〜8%増やしましたが、これは会員さまとの信頼関係さえあれば、まだまだ伸ばすことができると確信しました。これから私が扱う遺伝子検査は、新時代のビジネスモデル・イノベーションに必須のパワーコンテンツのひとつになると自負しています。チャレンジする者だけが勝てる時代フィットネス業界を健全に成長させていくために一番重要なファクターは、人材だと思います。ビジネスモデル・イノベーションが実現できる経営者層が増えてくると、この業界は必ず成長軌道にのれます。そのためには、学生の段階からもっとフィットネスビジネスに興味を抱いて学び、喜んでこの業界に入ってく
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