Fitness Business 60 ◎ May-June 201268フィットネス業界の未来Feature特 集ICTの活用マーケティング面では、ICTの活用にもっと積極的に取り組むべきだと思います。前職時代は新規入会者の85〜90%からメールアドレスを取得して、週に複数回コンタクトをとることをしていました。メールアドレスのメリットは、コストの低さはもちろんですが、何よりスピードにあります。電話やDMよりも確実に早く、多くのお客さまとコミュニケーションをとることができます。リテンションだけでなく、単価アップや紹介入会の促進など、さまざまな目的を効率的に実現するのにとても役立ちます。例えば、チェックイン時に何人かに1人の割合で特別なクーポンが当たるような仕掛けをつくったりするのはどうでしょう。また、未利用者や低利用者に月に何回以上利用するとプレゼントが得られるといった案内をメールで送ったりするといったこともよいでしょう。また、週に1回しか来館できないお客さまにホームフィットネスエクササイズを動画で配信して実施してもらうようにするのもよいでしょう。私は基本的に、トレーナーはメンターでもあるべきだと思っています。もし担当するお客さまがフィットネスを継続できなくなりそうな気配を感じたら、メールなどでフォローするのは当然だと思います。かつては同様のサポートをしたくても費用対効果が合わず難しかったわけですが、ICTの発達によりこれらが可能になったと私は思っています。ですから使わない手はないと思います。継承による再生これからの5〜10年間には間違いなく継承物件がたくさん出てくまた別の人材に支配人を任せたらいいと思うのです。フィットネス業界では、いまだに年功序列的な人事慣行が残っている会社があると聞きますが、これは愚かなことだと思います。20歳代でも能力があれば支配人でも営業部長にでもすればいいのです。私もかつて20歳代前半で抜擢されて支配人を任されたことがあります。実際にその職に就いて経験することは何よりの学びになり、力にもなります。私の場合は実力不足で降格もしましたが、その経験でさえ身になりました。前職の経営者の方々にはたいへん感謝しています。フィットネス業界の経営陣の皆さまには、ぜひ将来有望な若者にチャンスを与えていただけますよう、お願いしたいと思います。機能する人事評価制度の構築と運用組織を活性化するには適正な目標を設定して、その達成を目指すことを楽しみ、さらに達成できたときに皆で喜び合える環境をつくることが大事だと思います。それを実現するためにも人事評価制度をきちんと整えることが重要です。そして、従業員にその仕組みがきちんとわかるように説明し、いきいきと働いてもらい、がんばって目標を達成した人材をきちんと評価すべきと思います。残念ながらフィットネス業界においては、ベンチャー企業はもちろん、大手も含め、きちんとした人事評価制度はあっても、それが機能している会社は少ないと私は思います。歴史を顧みれば、滅ぶ組織、滅ぶ国には「リーダーに立つべき人がそのポジションにつけていない」という共通する事象が見て取れます。事なかれ主義の形式的な査定を続けている限り、従業員のやる気は高まらないでしょうし、業績も伸びないでしょう。をすることによって、「糖尿病を発症しやすい遺伝子をもっているから、気をつけなければ」という確信に変わるのです。そうした僅かな認識の変化が、運動や食事などの生活習慣を改めるきっかけになるのです。トレーナー側も評価の部分を検査に頼ることで、学習の領域も絞ることができます。的さえ絞ることができれば、指導は格段にしやすくなりますし、指導スキルも向上すると私は考えています。そうすることで、トレーナーもお客さまに対して嘘のない誠実な指導を提供することができるようになり、それがいずれ健全なクラブ運営につながっていくと思うのです。 “大量集客・大量退会”型モデルの終焉“大量集客・大量退会”型のモデルは、もう破たん寸前にあると思います。だからといって、急に集客を落として入会に頼らない運営をしようとしたら経営が圧迫されます。まず既存のお客さまから信頼される運営をしてご満足いただき、それからお一人おひとりに相応しい商品・サービスを提供して売り上げを高め、その次の段階で集客は欧米のように体験や見学、紹介を中心に行っていくというようにして、顧客からの信頼をベースにした運営を志向すべきと思います。かなり緻密な経営が求められるはずです。若者にチャンスを新しい時代にはそれに相応しい優れたリーダーの存在が欠かせません。もっと現場を預かる支配人にエンパワーメントするとともに、責任をもたせるようにしたほうがいいと思います。支配人に裁量権を与えて、結果が伴わなかった場合は降格とし、
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