May-June 2012 ◎ Fitness Business 6067フィットネス業界の未来特 集Featureだと思います。脅威を機会に変えよこの先、異業種から脅威となるプレイヤーがフィットネス業界に参入してくる可能性は大いにあります。それが刺激となってフィットネス業界がよい方向に変われるなら、これは歓迎すべきことだと思います。脅威をもって機会となすのです。これまでの日本の歴史を振り返ると、結局外圧をきっかけに変わっていったことが多いと思います。ペリー来港しかり、マッカーサー来日しかり。パチンコホール運営企業や製薬メーカーなどから「当業界に参入して多店舗展開したい」という話はよく聞きます。フィットネスの価値を正しく伝えよ国や自治体、業界団体に期待することは、フィットネスの啓発です。フィットネスの本当のよさをまだ多くの生活者はわかっていません。エステティックやマッサージ、薬などから得られる効果は一時的かつ限定的です。健康の問題に関して根本的に解決できるのはフィットネスくらいしかありません。それにも関わらず、多くの生活者の方々は、エステティックやマッサージ、薬などをフィットネスを代替するものとして捉えています。これは大きな間違いです。事業者自身も、生活者にこの誤認識を改めてもらえるように正しい情報を提供していかなければならないのですが、国や自治体、業界団体もまたこうした誤認識を改める活動に取り組んでほしいと思います。「健康検定」など、ヘルスナレッジを高めるための国家的規模のプロジェクトなどにぜひ取り組んでほしいと思います。できることなら、民間保険や国民健康保険もフィットネスクラブの利用回数やリスクファクターの少なさ、病院の利用回数や支払い額などに応じて保険料の支払い額に加減があるような商品や制度の設計をしたらいいと思います。トレーナーがライフプランナーになって、実際の健康づくりも含めてトータルにサポートしていくことができたら、もっとお客さまも喜びますし、クラブの収益性も確実によくなるはずです。病気になった人に税金を使うより、病気の予防に税金を使う保険のほうがいいと思うのです。フィットネスクラブと連携した制度をつくれないものでしょうか。嘘のないクラブをつくるもし私がこれからフィットネスクラブ経営をするとしたら、「嘘のないクラブ」をつくりたいです。専門的な知識とスキルを備えたトレーナー・インストラクターがカウンセリングと測定をして個別プログラムをつくり、指導し、運動の継続をサポートしていくといった当たり前のことをごまかしなくきちんとできるクラブをつくりたいと思います。今あるクラブは残念ながら、責任はすべてお客さま任せにしているところが多いと思います。入会から6ヶ月や1年間のいわゆる“しばり”によって定着化させているところもありますが、それではいけないと思います。何よりそれでは、取り組みに対しての効果測定が遅れます。私がクラブを経営するなら、本気で都度利用でも事業が成り立つようなビジネスモデルを考えて多店舗展開し、成長させていきます。よく聞くことではありますが、クラブ側のサービスが、お客さまが事前に抱いていた期待以上であることによって、お客さまが満足や感動を得るとすれば、それに相応しい仕組みをつくり、機能させて成果を提供し、さらにその先で本当にお客さまが望んでいたより上位の目的を叶えてさしあげることが大事になると思います。似たような成果志向型のモデルで運営するクラブもいくつかありますが、よくその実態を知るに、従業員のハードワークのうえになんとか成り立っていたり、投資回収まで視野に入れず損益だけで判断していて、実際の収支はほぼトントンといったところがほとんどです。私はお客さまと強い信頼関係を築き、それを拠りどころに会費外収入を高め、もっと利益を生めるモデルをつくりたいと思っています。売り上げに占める会費外収入の比率を3割程度にまでは高めたいと思っています。会費外といっても、当然、会費の継続的な支払いにつながる価値ある商品・サービスでなければいけません。その中核となるのが今度起業して皆さまに提供したいと考えている遺伝子検査です。これからは間違いなくセルフメディケーションの時代になります。そこでなぜ遺伝子なのかというと、遺伝子情報を活用すれば、より的を絞った健康管理が可能となるからです。自分で簡単に遺伝子を調べて特定の病気になるリスクを知り、病気になることを避けるための方法についてトレーナーから指導を受け、それをトレーナーにサポートしてもらい、実行していくという世の中になる、そう我々がしたい、と思っています。例えば、父親が糖尿病で通院しているとします。今までは、「父親も糖尿病だから、自分も将来もしかしたらなるのかな…」といった漠然とした意識で終わっていたと思います。そうした意識のレベルでは行動変容は起きません。それが、遺伝子検査
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