Fitness Business 60 ◎ May-June 201264フィットネス業界の未来Feature特 集すが、多少医療費の自己負担を上げたところで、まだ欧米と比べて負担額は低く、意識も高まっていないので、それだけではさほどトレーニングに励む生活者は増えないでしょう。フィットネスクラブの参加率は急には高まらないものと思われます。では、どうすればよいかというと、私はもっとフィットネスクラブで運動することのメリットを伝え、啓発していくことが必要だと思います。特に、今運動している方ではなくて、「運動なんて…」と考え、まったく運動をされていない生活者に向けたアプローチが必要になると思います。そうしたフィットネス未経験者に向けて、運動の効果、よりよい運動の方法、クラブを利用するメリットなどをできるだけわかりやすく伝えていくことが重要です。例えば、「効率的に痩せるためには、筋力トレーニングを先に行い、その後心肺持久力系のトレーニングをするほうがよい」といったことの背景にある理論をわかりやすく伝えることができれば、そのことを知った方は「なるほど」とフィットネスクラブに通う価値を感じてくださるかもしれません。我々の業界では「カーブス」がこうしたトレーニング理論の伝達やそれによる啓発に最も積極的取り組んでいるのではないでしょうか。大いに見習うべきだと思います。トレーニングの啓発という点においては、業界団体としても積極的に取り組むことが大切だと思います。例えば、「敬老の日にフィットネスキャンペーン」のような取り組みをもっとほかにも考えて実行するとよいと思います。着実に出店、将来は 小規模業態の出店もフィットネスクラブ各社が行うトレーニングの啓発を通じて、生活者がトレーニングの価値を徐々に認識していくプロセスのなかで、当社も事業成立性の高い物件をよく吟味し、1軒1軒確実に出店していきたいと考えています。出店余地はまだありますから、5〜10年後に向けて安定的に成長していくことを目指します。今期’11年9月開業のメガロス葛飾店、同年12月開業の同上永谷店は予定通りの集客ができています。実は、過去に店舗開発責任者が競合店予測を軽視して無理な出店を重ねたため、今回これら赤字店舗の損失処理を現経営陣の責任で行いました。今後はそうならないように慎重に出店判断をして、堅実な経営を目指します。また、成長するためには新業態での出店も欠かせないと思っていますので、併行してこちらの開発にも取り組んでいきます。当社は複数の外部機関のCS調査で高いご評価をいただいていますが、その一番の要因はトレーナー・インストラクターの指導力にあると考えています。そうした人的資源を活用することで、より小規模で成果志向の業態が確立できるのではないかと思っています。これらは、既存の総合業態のあるエクラブ経営は揺るがずフィットネス業界は2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震により、業績に大きな影響を受けましたが、反面フィットネス産業自体の強さや魅力を再確認する機会にもなりました。震災直後のクラブの利用状況についてみると、退会率は変わらず、また利用率も下がることはありませんでした。むしろ利用回数については昨年よりも数パーセント高くなっていました。これは既存のお客さまがフィットネスクラブに対して価値を強く感じてくださっているという証でしょう。フィットネスクラブの未来は明るいと判断できる材料のひとつといえます。運動の啓発が必要なぜ日本のフィットネスクラブの参加率は長期に渡り3%台に留まったままなのでしょうか? 1つには、日本の保険制度が優れていて、病気になったとしても医療費の自己負担が低く、かつ医療の質が高いため、病気になることへの危機意識が低いことがあると思います。欧米では、病気になるとかなり高額な医療費を自己負担することになったり、元来、室内トレーニングには伝統もあるので、多くの生活者が普段からトレーニングを行い病気にならないように自己防衛しています。ということは、日本も医療費の自己負担を上げれば自らトレーニングに励む生活者が増えるのか、ということになりま顧客満足の追求とフィットネス未経験者への運動の啓発により参加率を向上株式会社メガロス 取締役社長 木皿儀邦夫氏Future 12
元のページ
https://fitnessclub.jp/business/e-book/fb60/index.html#64