May-June 2012 ◎ Fitness Business 6061フィットネス業界の未来特 集Feature療費控除の対象にするといったことです。個人的には税金で多少の補助をしても、生活習慣病が予防できるため、将来の医療費は軽減されるものと思います。強みを活かした既存店の リノベーション当社は2004年から出店攻勢をかけはじめ、多い年で一年間に9店舗を出店しましたが、ここ数年は市場のデフレトレンドもあって出店を控えています。徐々に市場は好転しつつありますが、だからといってかつてと同じように大型店の新規出店を軸に成長を狙うということは無理があるでしょう。一番考えなければならないことは、資産の有効活用ではないでしょうか。つまり、独自の強みを活かして既存店のリノベーションを行い、いかにクラブを魅力あるものにしていくかというところです。リノベーションというのはハードや設備だけでなく、お客さまにとって魅力的なソフトを提案していくことでもあります。 ’11年度は梅田店、’12年度は吉祥寺店、蒲田店でファンクショナルトレーニングを提供できる環境をつくりましたが、想定以上の成果を上げ順調に推移していますので、今後も同様な手法で継続的にリノベーションを実施していきます。進む環境対応コストマネジメントはこれからも大切になるでしょう。私たちのビジネスはその性格上、大量の水とエネルギーを使いますので、当然のことながら省資源・省エネルギーに配慮してCO2削減、地球温暖化防止に努めることが大切になります。当社はこうした観点から’09年12月にISO14001の認証を取得しています。クラブ経営の観点からもランニングコストを抑えた分、施設・設備の改善や顧客サービスの向上に振り向けられますから、よい流れがつくれると思います。今はこうした環境に配慮した企業活動そのものが、お客さまの共感と信頼を得ることにつながる時代になってきていると思います。震災の影響もありますが、お客さまから「もっと節電できるのでは?」とか、「照明も空調も必要最小限でかまわないので、社会の要請に応えてほしい」との声を多数いただいています。今後も環境経営を進めるなかで、できる限りのコストマネジメントを進めていきます。ろ過ポンプへのインバーター取り付けやデマンドコントローラーの設置といったハード面だけでなく、オペレーション上での工夫も進めていきたいと考えています。開発担当のノウハウやアイデアを全支配人でシェアするなどの集合知の活用も進めていきます。クレド導入による ホスピタリティの向上フィットネスビジネスは「人材こそが最大の経営資源」と捉えています。したがって、当社では教育、研修に相当に力をいれています。昨年からティップネスのブランドメッセージとして「みんなのカラダのチカラになるフィットネス・エキスパートナー」を標榜して、コーチング、カウンセリング、メンタリングなどのヘルスコミュニケーション力のある人材を育成しています。さらに、キャリアアップを支援するシステムとして新たにキャリアナビシステムを構築しました。これは各々の役割等級で求められるスキル―ジムでのカウンセリング、スタジオでのグループエクササイズやアクアのレッスンスキル、フロント業務、商品管理など―を体系的に整理し、「能力レベルの見える化」を目指したシステムです。スタッフ一人ひとりが今、どの能力レベルにあるのか、次の能力レベルに進むためには今後どんな研修・ツールを用い、強化すればよいかがわかるようになりました。このシステムを人事制度にも組み込み、年初に上司と面談してその年に獲得するスキルを共有化し、年2回の面接時に進捗を確認することをルール化しています。獲得すべきスキルのなかで最も難しいといわれるのが接客スキルです。外食事業では80%程度をマニュアル化できますが、フィットネスビジネスではそれはせいぜい50%止まりでしょう。つまり、マニュアルを超えたホスピタリティが求められるのです。ミステリーショッピングリサーチなども導入していますが、これは接客サービスを標準化しやすいファストフードのような業態には向きますが、幅広いシーンに柔軟な対応が求められるフィットネスビジネスにはあまり向きません。そこではよりホスピタリティが求められるため、それを主体的に発揮したり、評価したりするものが求められます。そこで、当社が’11年5月に導入したのが「仕事にあたっての我々自身の思い」を言葉にした「クレド」です。もちろんこれだけを目的に導入したわけではありませんが、このなかに「お客さまのために」という項目があり、「安心、安全」「スマイル」「考動」「オーダーメイド」「オンリーワン」の5つの切り口から、目指すべきホスピタリティの在り方を提示しています。これらを一人ひとりのスタッフが様々なシーンで適切な行動に移せるように取り組んでいます。
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