May-June 2012 ◎ Fitness Business 6057フィットネス業界の未来特 集Featureたが、このときに様々な取り組みを行ったことが今に活きてきていると思っています。その取り組みのひとつはコストマネジメントです。必要なものと必要でないもの、効率的なものと効率的でないものをきちんと分けて、それぞれ前者に置き換えていきました。効率化では、人事体系や配置シフトのマネジメントを細かく行いました。結果、売上高は計画通りですがコストが思った以上に抑えられ、徐々に利益が出るようになってきました。2010年度は、会員定着策も奏功したことで会員数が1万名近く上積みできました。残念なことに、その1万名近い会員数が震災の影響で一挙に失われてしまいましたが、この1年間でまた元の状態に戻しています。これはずっと取り組んできたことが収支両面で奏功したからといえます。総合クラブ型業態については、これから入会者数は前年度並み程度でよしとしつつ、既存会員の定着化をさらに促す施策をとっていきます。これまで取り組んできた入会後のフォローを徹底することで、入会後3ヶ月間の定着率90%超を維持し、さらに次の3ヶ月間の定着率を今以上に改善し、理想的には紹介入会率が退会率を上回るようになる水準を目指していきます。紹介入会率が退会率に近づくだけで、業績に与えるインパクトは相当なものになります。フィットネスライフプランナーの配置会員定着を実現するには、クレンリネスが行き届き、快適かつ機能的な施設環境も必要です。当社は一時期施設の改修・改善などまで十分に手がまわらないときがありましたが、近年はここにも注力しています。お客さまから見て不快・不便な箇所をが遅いため、早期に成果を求める方のために投入しました。ファスティングでいったん体内環境を整え身体を締めてから、その後筋トレでその身体を維持・強化していくことによって、より確実にお客さまが入会初期にぶつかる壁を乗り越え、ひとつの到達点であるシェイプアップされた身体に行きつくことができるようになります。このようにクラブごとに魅力的なコンテンツを揃えてクラブ未利用・未体験の生活者が着目するような打ち出しをしていくことが重要になると思います。業界団体としての取り組みも重要各企業独自の工夫と努力が何より求められますが、それとは別に、業界団体として協調して業界の発展に寄与できることもあるはずです。ここは個別の利害を超えて結束して動いていくことが大切です。国が主体的に健康づくりのサポートに取り組み、医療保険、社会福祉に関する財政の健全化を目指すことは、間違いなく重要な国家的課題であるはずなのに、今の政治体制下ではどうも後まわしにされている感があります。ならば、病気になる前に運動、栄養、休養により予防をすることの啓発は国だけでなく、業界団体ももっと積極的に行っていくべきでしょう。国のメタボ対策を「効果がない」「恩恵が得られない」と批判する方もいますが、決してそんなことはないと思います。「メタボ」という言葉が国民に浸透し、確実に健康づくりに取り組む生活者および企業は増えたと思います。コストマネジメントから 会員定着化へ取り組みをシフト当社は上場後、一時期業績が思うようにあげられないときもありましセミナーとともにプログラムも提供していくということもあるでしょう。さらにソフトビジネス、施設ビジネスと事業を拡大させていくといったことが想像できます。こういう異業種プレイヤーと敵対するのではなく、アライアンスを組んでお互いに得意でない部分を、他方の得意な部分で補い合って新しい需要をつくり、新市場を開拓していくのもよいと思います。もちろん一プレイヤーとして単独で新しい事業を起こし、新市場を開拓していくことも有り得ると思います。今ある程度勢いのある事業や確立されている業態も、やがては成熟し失速する可能性がありますし、逆に、今はまだそれほど勢いがない事業や確立されていないと見られている事業が徐々に伸びていき、既存のプレイヤーを脅かす存在になるといったこともあるかと思います。例えば、トレーナーが独立起業して、成果志向のプログラム・サービスを提供する小規模なジムを創るなどの動きは、既存の総合クラブにとって脅威となるかもしれません。特徴あるクラブづくりを推進既存市場を深耕するマーケティングや新市場を創出するイノベーションについて当社はかなり研究しているものの、既存店に関しては、生活者から見た魅力がやや薄いのではないかと認識しています。そのことは実績にも現れています。ただ手をこまねいてばかりはいられません。そこで、当社としては機能改善などを特徴にしたクラブづくりをして、魅力を感じていただくなどの改革を進めているところです。提供サービスもいろいろと考えています。例えば、昨年導入したファスティングは、運動だけでは成果が出るの
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