Fitness Business 60 ◎ May-June 201254フィットネス業界の未来Feature特 集す。これがとても刺激的で面白かったことを覚えています。何人もの生活者にフィットネス云々は何も問わず、「今3時間空いたとしたら、あなたは何をしますか?」といった問い掛けしていくのです。それにより、私たちが今どの位置にいるのかを知ることができます。また、生活者が求めていることだけでなく、求めていないことにも気づくことができます。細かいプロセスは省かせていただきますが、約1年半に亘るこのプロジェクトの成果として、新しいダンススクール業態『THE☆STAGE』に取り組むことが決まりましたが、このほかにも目的型特化ジムやwebを活用したフィットネス・サービスなどの素晴らしいアイデアがいくつも出ました。尚、プロジェクト推進においてはチームメンバー以外のスタッフも、シフトなどで協力してくれたことに感謝しています。優秀なインストラクター・ トレーナーの不足を危惧現在、新しいプログラムの企画・開発などで活躍しているインストラクター・トレーナーもやがて高齢化していきますが、新しい世代のなかから、こうした方々にとって代わる優秀なインストラクター・トレーナーが何人も出てきてくれないと、フィットネスクラブの品質もやがて落ちてしまうのではないかという危惧があります。この点については、私たちプレイヤー皆で育てていくアプローチが必要ではないかと思います。私たちのビジネスにおいて、最大の資源は間違いなく優れたインストラクター・トレーナーたちなのですから。会員維持型の運営を志向運営はこれから入会促進主体ではなく、会員維持主体に移行していきます。そうなると、入会初期のスターティングプログラムで満足していただけるように導くことが特に大切になります。当社は現在社内に「姿勢・柔軟性のチェック」の資格指導者が385人いますが、これをできるだけ早期に全社員・全フィットネススタッフが取得するまでにしたいと考えています。入会後の会員さまに対して体組成測定〜カウンセリングで満足いただくだけではなく、例えば、ジムでストレッチをしている会員さまに対して、スタッフが直接適切なアドバイスをすることなどによっても満足いただけると考えているのです。そのためには、専門的な知識とスキルが必要になります。ベースとなる専門知識とスキルを社内研修によって得て、その後さらに学習を続けていけば、お客さまの姿勢を見ただけで、お客さまが満足するアドバイスが提供できるようになるはずです。ジムやスタジオで効果的な声かけができるトレーナー・インストラクターを増やしたいと思っているのです。初期対応の品質向上今、スターティングプログラムの品質を高めるために、ミステリーショッパーを活用しています。入会後にお客さまが受けるスターティングプログラムの1〜3回目までについて、実際にどう感じたかを詳しくレポートしていただいているのです。その結果を見て最初は衝撃を受けました。「カウンセリングの際に名前で呼んでもらえなかった」「次の運動への提案がなかった」など、人材力に起因することが思いのほか多かったからです。そこで、中野ジェームズ修一氏にお願いして、お客さまのモチベーションを高めるためのカウンセリング力、セールス力などを高める研修をしていただくことにしました。これからは人材力がとりわけ大事になります。特に、お客さまとの最初の接点でどう対応するか、そのことがその後の継続利用〜定着にも大きく影響するものと思われますので、まずはこの段階のサービスをきちんと提供できるようにすることを目指します。施設の品質維持ハード上の改築、改修は美装や機能に関わることを中心に毎年少しずつ進めており、お客さまが不具合や使いにくさを感じることがない状態に保つようにしています。施設によっては大規模な改善・改修をするクラブもあります。もちろん安全上の問題や節電・節水などの問題への対応もしています。こうしたことについて、現場のスタッフが本部に話しやすいような組織風土にしていきたいと思っています。社内資格制度導入による 指導力のアップソフト面では、既述した「姿勢・柔軟性チェック」の社内資格取得によるスターティングプログラムの精度アップのほかにも、「ランニングフォームチェック」の社内資格取得にも取り組んでいます。例えば、トレッドミル(ランニングマシン)で走っているお客さまに対して、「手のひらを上に向けると胸をスムースに張ることができますよ」とか「肩甲骨を引き寄せるように腕を振るといいと思います」などといった適切なアドバイスができるトレーナーを増やしていきたいと考えているのです。「ランニングフォームチェック」の資格保持者は
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