May-June 2012 ◎ Fitness Business 6051フィットネス業界の未来特 集Featureば、必ず参加率は高まると思います。震災後、東北の多くのフィットネスクラブは参加率が上がったと聞いています。フィットネスクラブは生活者からそれほど大切にされる施設なのですから、我々は誇りと使命感をもって真摯にこのフィットネスビす。もっと具体的にいうと、サービスに満足した既存のお客さまが積極的に知人・友人にその素晴らしさを伝えて紹介入会者が増えていくような状態となるクラブをつくることです。各クラブがそれぞれUSP(特徴)をもって差異化を図ろうとすれジネスに取り組んでいくことが求められると思います。また、もっと多くの生活者の要望に応えていく必要があると思いますし、そのためにも、もっと業界の各プレイヤーはレベルを上げていきましょう。お客さまは必ず評価してくれるはずです。「文化」なき総合型クラブは淘汰、ポートフォリオ経営が生き残りの鍵株式会社明治スポーツプラザ 代表取締役 石原良太郎氏Future 8イノベーションとハ−トフルフィットネス業界の未来について希望的な観測をする経営者もいるでしょうが、最悪の状況を想定し、観測してみることは大事だと思います。楽観的に考える経営者よりも、危機意識をもって考える経営者のほうが変化対応力があることは、世の歴史を振り返ってみてもいくつも先例を挙げることができます。今後の日本経済は回復することなく、ハードランディングせざるを得なくなると想定したとしましょう。具体的には、ハイパーインフレで老年層と若年層の世代間の格差、不公平感、ギャップを埋めることになるとします。様々なところでみられる世代間格差こそが日本の一番の問題点と捉え、それを日本の政府が政治的に解決できないとすると、給付額を変えずに大幅なインフレを誘導するというシナリオも十分考えられます。こういう大きな変化が起こるかもしれない時代にフィットネスクラブはどうなるのでしょうか? 短中期的な人口減と経済の停滞により、コストのかかるプールや混浴施設のようなアイテムを備えた総合型フィットネスクラブは業績を落とし、一部は撤退を余儀なくされると考えます。総軒数も減るかもしれません。一方、投下資本が少なく対象顧客を明確にして、その顧客の価値を高めた小規模業態は生活者の支持を得て増えるでしょう。しかし、経済の調整期を経た後、淘汰されずに残った総合型のクラブに限っては収益性を高められるものと思います。規模の大小に関わらず、結局は顧客創造できる企業が生き残り、それができない企業は淘汰されるのです。「イノベーション」と「ハートフル」。この2つを備えた企業が私は生き残ると考えています。「ハートフル」とはお客さまをはじめ、従業員や地域社会に対して優しいということです。例えば、これから増えてくる老年層のお客さまを「シニア」や「シルバー」世代と呼ぶのではなく、「ビューティフル」世代とお呼びするといった感覚が必要になる気がします。総合型クラブでこれから生き残れるところは、価値や会員種別のような表面的なところで勝負するのでなく、「文化」で勝負していくところだと思います。そうでないとコモディティ化して利益を生み出せません。従来の総合型クラブのモデルはすでに破綻してしまっているのです。老年層をターゲットにコンセプトを明確化したうえで、モデルを再設計する必要があります。これから求められるコンセプトとしては、ニーズ・ウォンツの高い順に、ビューティ、癒し、健康だと思います。生活者の夢が叶えられると感じられるサービスを提供することが求められるでしょう。ポートフォリオ経営の推進従来の総合クラブは大人の会員に少々の子どものスクール生徒を加えたモデルが主体でした。このモデルでもまだしばらくは生き延びることができるでしょう。しかしながら中長期的に渡って生き残り、成長していけるかというと、それは難しいでしょう。(一事業への)過適応は衰退の始まりです。とはいえ、力を分散させすぎてしまうのもよくありません。適切なポートフォリオを組み、成長していくことが大事です。その
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