May-June 2012 ◎ Fitness Business 6049フィットネス業界の未来特 集Featureが改善して在籍会員数の増加につながっていったのだと思います。プログラムについてはフィットネス初心者にフォーカスした「カンタン」シリーズを拡充しています。’12年4月からは、これまであったエアロビクス系の「カンタンエクササイズ」に加えて、筋コンディショニング系の「カンタンシェイプアップ」も投入しています。フィットネス初心者の方々にはこうした「カンタン」シリーズへのご参加をまずお勧めしながら、次のプログラムを紹介していくようにしています。重要な継続教育提供するプログラムの品質を維持するという点では長年、教育にも注力してきています。エアロビクスやピラティス、アクアエクササズなど各分野のトップインストラクターに(外部)ディレクターとなってもらい、インストラクターの教育を担当してもらっています。オリジナルのインストラクター教育システムを整えたいと考えていますが、まだこれは課題レベルに止まっています。出店スピードを上げる局面になったとき、ここが整備されていないとサービス品質が落ちかねませんので、何としてでもつくり上げたいと思っています。一方、自社スタッフの教育システムについてはある程度のものがようやく出来上がってきましたので、運用してみて成果をチェックし、改善すべき点があれば改善し、精度の高いものにしていきたいと考いとは思っていますが、そこから何らかの直接的なリターンを期待してはいけません。経営の成果は自責で捉えないといけません。成長の第一ステップは 退会率の引き下げ当社も業界の成長に貢献できるように成長していきたいと思っていますが、そのためにはまず足もとをしっかりと固めることが必要です。お客さまの期待にお応えできる、きちんとした運営をして結果を出すことから取り組み始めています。この点でいえば、着実にこれまでの取り組みが奏功してきています。2011年10月で、それまでじりじりと減少していた在籍会員数が下げ止まり、11月に増加に転じ、12月、’12年1月と徐々に伸びてきました。退会率の改善には重点施策として4年ほど前から取り組んでいて、既存3店の’11年3月期の月間平均退会率は2.6%に改善しました。これが’12年3月期にはさらに2.5%へと改善してきています。ポイントは運動する目的の再認識、運動の効果や方法、目標達成までのプロセスなどをお客さまがわかるように入会直後からきちんとサポートすることです。この間、続いている不況期にあってもこうしたサポート体制の強化に加えて、施設のリノベーションや新プログラムの投入などに地道に取り組んできたことから、入会者はそれほど増えてはいないものの、既存のお客さまにご評価いただき、退会率業界の多様化と質の向上により 参加率がアップ業界の5〜10年後を想像するに、確実に参加率は高まっていると思います。その根拠は、2つあります。1つは、今後多様な業態が出店し、生活者の選択肢が広がるからです。すでにある女性専用の小規模サーキットジムや24時間営業・年中無休のコンビニエンス型ジムなどに加え、今後は月会費5,000円を切るような低料金ジムや、逆に月会費2万円を超えるようなクラブももっとたくさん出てくることでしょう。もう1つは、単に施設を提供するのではなく、きめ細かいサポートによってお客さまの求める成果を確実に出そうとするクラブが増えていくからです。この量と質の2つの要因から、参加率は必ず高まると思います。それが高まらないとすれば、プレイヤーの問題でしょう。プレイヤーの起業家精神、出店意欲、運営改善姿勢などが下がるなら、参加率も上がるわけがありません。フィットネス業界の成長にとって、ある意味最も脅威となるのはプレイヤー自身のマインドであるといえましょう。お客さまがクラブを辞めるのはクラブ側の問題と捉え、改善、改革していくことが必要だと思います。国や自治体、業界団体などに対して過度な期待をしてはいけません。もちろんフィットネス業界に追い風になるようなことは積極的に行ってほし多様化、差別化、質向上に取り組むことによって成長を実現株式会社エイム 代表取締役社長 吉田康志氏Future 7
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