Fitness Business 60 ◎ May-June 201246フィットネス業界の未来Feature特 集「学ばせていただく」姿勢当社では「施設を輝かせ、関わる人を輝かせるコンテスト」を行っています。社内ネットワークを使用して全事業部がエントリーし、自分の業務や施設維持などで実施した内容と秘話を登録します。その内容を全社員が読み、1人1票をもって投票します。社長でも新人でも同じ1票としてカウントします。集計の結果、上位3名を表彰し、その内容をDVDに収めて配布します。その内容にはちょっとした気遣い、心遣いがたくさんちりばめられています。私たちの仕事は、その“ちょっとしたこと”を全スタッフができるかどうかにかかっているように感じます。結局、サービス業は「学ばせていただく」姿勢を常にスタッフがもつことが大切だと思うのです。将来のフィットネス業界は、このような「心の教育」をますます重視していく傾向になると確信しています。識や技術だけでなく、プラスαが必要です。会って楽しい人や、嫌われないリーダーが必要です。つまり人間的な魅力、人間力が最も大切となってくるでしょう。そして、これからは「心の時代」が来ると思います。働いているスタッフにとっても、フィットネス業界にとっても、日本全体にとっても見て見ぬふりをしない姿勢が必要です。また、社員のモチベーションを高めるためにも、ビジネスをする意味を常に考えています。何のためにするのかという、心の在り方の問いかけです。欧米型の成功は、マズローの欲求説などを引用すれば、自己実現にあると思いますが、日本人にとっての成功は「お役立ち」ではないでしょうか。すなわち、「誰かの役に立てる」ことが、人間としての誇りであり生きがいだと思えるのです。フィットネスはまさにお役立ちにふさわしい仕事です。は非常に厳しいものがあります。私はボランティアとしてすでに8回以上現地で活動し、このゴールデンウィークも「ビジネスキャラバンツアー」を企画し、40名以上で5日間、青森から茨城まで主な被災地を励ますために活動しました。それは、17年前私どもが神戸で被災した折、多くの方に助けられ、援助をいただいたからです。私はあのときの感謝の気持ちを今も忘れていません。個々には多くの方が活動していると思いますが、業界全体としても募金や健康体操指導のほかにも、様々な活動を継続してやるべきではないかと思います。誰かが動かなければ業界も変わっていきません。世界中が注目するなかで、忘れてはいけないことだと思います。今は経済至上主義の時代から人の時代へと変わってきました。絆が叫ばれ、中高齢者や幼児・児童のお客さまが増えるなかでは、スタッフの人間的な質が求められてきます。知プログラム力、指導力で成果を提供できる高客単価な総合クラブを実現株式会社スポーツフォーラムシーマックス 代表取締役社長 增本茂樹氏Future 65年後も変化は少ない大きな流れでいうと、フィットネスクラブ自体には、5年後まではそう大きな変化は起こらないのではないでしょうか。今まで通り、総合型フィットネスクラブは大半が装置産業として、ジム、プール、スタジオに加えリラクセーション施設を備えているでしょう。スタジオで流行のプログラムを中心に提供することもこれまでと変わらないでしょう。それに加え、人的なサービスとしては利用方法のご案内、基本トレーニングのご案内が主であり、極端にいうと「あとはお客さまが自由に機器を使い、どのようにトレーニングするのか、どのプログラムに参加するのかは自分で考えて決めてください」とほぼ丸投げの状態が続いているように思います。会員としてどのような方が使っているかをみると、スポーツ好きの方、フィットネスが趣味の方、仲間との集いを楽しんでいる方、自由に使えるお金が潤沢な方などでしょう。要するに、「トレーニングを自分で組み立て、クラブの使い方を自力で創造できる方」は継続していけるわけですが、それができない方はいずれ辞めざるを得なくなってしまうところが現在の問題点ではないでしょうか。
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