May-June 2012 ◎ Fitness Business 6041フィットネス業界の未来特 集Featureれています。スピードアップや人件費の節約につながり、個人情報の管理にも適しています。しかし、私はアナログのよさを再認識したいと思い、今回出店のクラブ(オーキャット フィットネススタジオ)には、昔ながらのトレーニングファイルを復活させました。利用時にはインストラクターからファイルを受け取り、一つひとつ自分で記入していきます。記入することで意識付けができ、目的・目標の認識や確認ができます。また、記録することで変化がわかり、トレーニングのモチベーションが上がります。さらに、スタッフや仲間との会話も弾み、スタッフもその場で見てすぐに指導に反映できますから、運動効果も継続率の向上にも貢献できると期待しています。最終的にはデータを記入しチェックしたのち、マシンエリアカウンターで預かり、鍵をかけて保管します。デジタルに弱い高齢者に喜んでいただけると思いましたが、若い人にも反応がよく、友人とのコミュニケーションツールとしても活用いただけています。求められる経営者の能力向上これからの時代がどのように変化するかは予測がつきません。世の中は1年前と比べてもすっかり変わってきており、5年後10年後のことなどまったく想像がつきません。ただ、そのようななかにあって、フィットネス業界は変化の少ない世界だといえます。特にマシンジムは器具の仕様やデザインは若干変化していますが、基本的には同じです。この点、スタジオはプログラムの構成や品ぞろえで変えることが可能です。ボールやポール・ステップなどの器具を用いて、高齢者対応も可能です。ファンクショナルトレーニングや機能回復トレーニングもニーズに合わせて提供できます。経営者は常に顧客動向を把握し、現場をよく見て熟知することが必要でしょう。顧客ニーズの把握とコスト意識をバランスよく判断できる能力が要求されます。売り上げと損益だけを見てガミガミ指摘するだけでは何の改善も生まれませんし、問題解決にもつながりません。一専多能化スタッフはプロとしてコアの能力を身に付ける一方、多能力を身に付け何でもできることが必要です。いわゆる「一専多能」です。全スタッフがローテーションですべての部門を担当し、どの場でも能力を発揮することが必要です。運動・指導部門だけでなく、ショップ担当やフロント・営業もできることが当然要求されます。それは、いいかえると店舗内のプログラムと関連し、何を販売したらよいか、何がお客さまサービスにつながるかを感じられることです。また、現場はチームで動くことが要求されるので、多忙なエリアにすぐフォローに行ける姿勢をもっていることも大切になります。組織の活性化は信賞必罰に徹することでしょう。人材育成に平等はありませんが、公平に判断し育成順位を決めることは重要です。特に、中心となる人材は集中的に育成し、徹底的に教育します。1人をレベルアップすることで、つられて周りのレベルも上がっていきます。ただし、これについて行くことができない人は脱落者となることを厭いません。健康保険料の減額コスト管理は非常に重要です。事業として今それが必要か、誰のため、何のためかを基準において優先順位をつけて緻密に管理する必要があるでしょう。また、業界団体が主導し、お互いに協力してコントロールすべきコストとして、電気料金、水道代、保険などがあります。特に、フィットネスクラブなどに積極的に通い、健康に留意し医療費低減に貢献している人には、健康保険料の減額などのメリットを与えてはいかがでしょうか。特色あるクラブづくり新プログラム・サービスの基本は「健康」であり、ボディコンディショニングです。トレーニングをするということは、ある意味身体を痛めつけています。だからクールダウンが必要になります。しかし、セルフではなかなか十分にはできません。そこでインストラクターが必要になりますが、そこではインストラクターの資質や技能に加え、健康ナビゲーションが必要となります。健康ナビゲーションとは「ワークアウト+コンディショニング+サプリメント」のことです。プログラムについては、made in Japanのプログラムがつくられるといいと思っています。外国からの導入や物まねだけでなく、日本オリジナルのプログラムをつくり、海外にも輸出できるレベルの内容を期待します。業界全体が本気で参加率10%にするために何をするのか。今までの常識をゼロにしてスタートしてはどうでしょうか。業界全体を整理して見直し、自社はどのポジションを狙うのか、生き残る道を探す必要があると思います。今の状況は各社どこも同じイメージで、特色を打ち出していないように見えます。これからは、もっともっと強い特色を出すことが必要でしょう。
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