Fitness Business 60 ◎ May-June 201238フィットネス業界の未来Feature特 集若年層・初心者層に対応した 業態が必要日本のフィットネス業界の一番の問題点は、この何十年間参加率が数%と、それほど上がっていない点です。アメリカは、日本とこの間経済状況はそれほど変わらないはずなのに、毎年少しずつ参加率を伸ばし、最近では約19%にまでなっています。この差の原因は一体どこにあるのでしょうか? 現象的には、日本のフィットネスクラブの対象顧客層が高齢化し、高齢層は比較的クラブに在籍しているものの、若年層は入会しても継続しにくい状況になっていることが挙げられます。若年層に訊くと、「(総合型の)フィットネスクラブは、おじちゃんやおばあちゃん、お父さん、お母さんの行くところで私たちには向いていない」という方が多くいます。若年層のニーズとクラブの間に何らかのミスマッチがあることは明らかです。この点、エニタイムフィットネスは若年層が多く在籍し、この層のニーズを相応に捉えたマーケティングができているといえます。これから5〜10年の間にはエニタイムフィットネスのような業態は増えていくものと思えますし、また実際にそうならないと日本のフィットネス参加率は上がらず、フィットネスは一部の人々のものだけに止まったままなのではないかと思います。エニタイムフィットネスのような業態は既存の総合型業態と競合しないばかりか、シナジー効果で日本のフィットネスの参加率を高められると思います。フィットネス初心者層が多く在籍しているため定着化が課題ですが、日本のフィットネス業界の成長、拡大にきっと寄与できるものと思っています。10年間で300店以上の 出店を計画エニタイムフィットネスは、2010年10月に1号店の調布店を出店してから、10年間で300店を出店することを契約として米国本部とコミットしていますから、まずは首都圏、関東圏を中心に若年層・フィットネス初心者層にターゲットした施設を直営、FCの両方で積極的に出店していきます。個人的には、300店といわず10年間で500店ほど出店できる可能性があると考えています。エニタイムフィットネスの業態的な特徴は、コンビニエンスでアフォーダブル、そしてパーソナルなカルチャーにあります。それでありながら、同一カテゴリーのクラブのなかでは最高レベルの品質を保とうとブランディングを強化しています。米国内ではここ数年、ハード面ではデザインスキームを見直し、ソフト面では店舗運営マニュアルを整備しています。そのため、スムースな運営が実現できるようになり、結果、月会費をこの間平均35ドルから42ドルへと上昇させることができています。また、パーソナルトレーニングの売り上げも漸増しています。現在の課題はトレーニング指導面ですが、ここも今年1年かけてマニュアルなどを整備して研修を強化しいく予定です。また、経営の鍵をにぎるのは支配人になりますので、マネジメント力とリーダーシップが身に付く支配人養成のための教育プログラムの整備にも取り組んでいきます。さらに、トレーナーなどがFCの個人オーナーになることを想定し、出店に際してファイナンス面のサポートも行えるような体制づくりにも取り組んでいます。ネットを活用した マーケティングを強化アメリカでは、会員管理とセキュリティキーとを連動させた「エニタイムヘルス」というwebベースでのCRMがあり、すでにかなり活用されていますが、日本ではこれからとなります。これにより、運動の履歴管理やサプリメントの販売などもできるようになります。この部分は重要なので、できるだけ早く導入できるようにしたいと思っています。また、アメリカのエニタイムフィットネスのホームページには、メンバーがクラブにどうインスパイアされたかを美しく表現した複数の映像が載せられていますが、日本のエニタイムフィットネスのホームページにもこうしたメンバーのサクセスストーリーをたくさん掲載し、入会を検討されているお客さまの背中を上手に押せるようにしたいと思っていコンビニエンス・アフォーダブル・パーソナルな小規模業態がフィットネス市場を活性化株式会社Fast Fitness Japan 常務取締役 秋谷浩司氏Future 2
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