May-June 2012 ◎ Fitness Business 60161ング大会も面白そうだよね」と考えてくれるようになる。そのうえで、「では、会員の〇〇さんに話をもっていけば、多くの会員さまを誘ってくれるだろう」などと、現場の状況に合わせて上手に計画を立ててくれるというものだ。計画段階から参加すれば“自分事”となり、ただ「計画されたことをやりなさい」といわれると、他人事となってしまうのである。ポイント2.思いつきではなく全体目標との整合性を大切にしよう先ほどのウォーキング大会の事例で考えてみよう。この企画自体は、実施すればもちろん多くの会員さまが参加してくれることだろう。しかし、自分たちのクラブの存在意義や目標と照らし合わせてみたとき、それはきちんと一致しているのだろうか。例えば、このクラブの今年度のテーマが「会員さまとスタッフのコミュニケーションを大切にする」だったとしよう。スタッフが、「会員さまとともにウォーキングしながらであれば、よりコミュニケーションが活性化するだろう」と考えれば目的と一致している企画ということになる。では、スタッフは何人がお世話役として参加すればよいのだろうか。参加会員数の5人に1人ぐらいの割合でスタッフも参加することによって、初めてウォーキング中のコミュニケーションも活性化されるというものだ。もちろん支配人自身も担当者に任せるのではなく、自分自身が先頭きって参加することが望まれる。ポイント3.全体最適であること全体最適の反対語は部分最適である。一部の人の生産性が上がったり、効率化が進んだりしても、そのことでクラブ全体のサービスレベルが下がってしまってはいけない。逆をいえば自分の手間がかかってしまっても、クラブ全体の効率や顧客価値が向上するのであれば、それは非常に価値のあることだ。ウォーキング大会を企画し参加者も大勢集まったとしよう。それに合わせてジム系のスタッフも多数参加し、会員さまとのコミュニケーションも活性化できたとしよう。しかし、フロントスタッフが「私たちは部署が違うから、参加しません」となれば、部分的にはよかったが、全体ではスタッフ間の協力が不十分であった、という問題がある。また、ジム系スタッフの多くがウォーキング大会に参加してしまったために、当日クラブにいるスタッフの数が減ってしまい、ウォーキング大会に参加しなかった会員さまが迷惑を感じてしまったとしても本末転倒、部分最適で全体最適にはなっていないということになる。企画がクラブ・会員さま・スタッフの三者にとってメリットのあるものでなくてはならないのである。ポイント4.リードタイムを短縮する現場の着想を大事にしながら、目的に一致した全体最適な企画であっても、最初に考え初めてから半年も一年も立ってしまっては、タイミングを逸してしまうというものだ。スピードを重視することが大切である。一番スムースなのは、一人が考え、みんなに指示・命令を出すことだ。これは、誰かに相談したり、話し合ったりする必要がないので非常に物事が早く進む。その一方で、取り組み始めたときに、現場スタッフが“やらされ感”を感じたり、“なぜやるのか”意味もわからずに行動するレベルでは、目的とは合い反する取り組みになってしまうかもしれない。みんなを巻き込みながらも、結論を出していくコミュニケーションスキルが必要になってくるのである。視点2.支援プロセスの取り組み支援プロセスとは、現場をサポートする力とでも考えたらよいだろう。本部機能があるクラブであれば、本部は支援プロセスといえる。またこれは、本部スタッフにだけいえることではなく、現場の企画をサポートしてくれるということであれば、日頃から出入りするお取引先も支援プロセスの一部といえる。支援プロセスを有効に活用することで、自分たちだけではできない企画も実現することができる。支配人のなかには、「本部は現場のニーズなどわかってくれない」または、「現場のニーズをわかっていて何もしてくれないのだから、きっとできないことなのだろう」と決めつけている場合を見かける。ここでは「どうせ」と決めつけないことがポイントだ。取引先には、社外インストラクターなど直接的に仕事に関わる人たちも入れば、クラブ内自販機の飲料販売店・マットやタオルのクリーニング屋さんなど、月末に請求書がくる企業すべてが取引先ということだ。「この人たちに相談することはいけないことだ」と思っている支配人も多いが、相談すれば、彼らも自分たちの業務を通してクラブ運営を一緒に手伝ってくれることだろう。だから「使ってやっている」などと思わずに誠実な関係を築く姿勢が大事なのである。従業員満足◆「顧客価値創造のプロセス」についての10ポイントチェック□ 顧客に喜んでいただく企画を考える際には、支配人だけではなく、関わるスタッフ全員が計画から参加している□ 計画された企画は、本来のクラブの目的と一致しており、目標と紐付されている□ 計画された企画は、一部の部署の成績や実績につながることではなく、クラブ内全体にとってよいことである□ 計画された企画は、少なくても1ヶ月以内には、かたちになって動き始めている□ 企画が実施された後には、取組自体が目的と合っていたか見直しが図られるとともに、会員さまの満足に本当につながっているかも確認されている□ 自分たちだけでなく、本部(本社)に対して企画を相談し多くの援助をもらっている□ 自分のクラブだけでなく、近隣の自社クラブに対してもよい影響が与えられるように情報を公開している□ お取引先を社外ではなく仲間と位置付け、いろいろと相談するスタンスをもっている□ お取引先は協力してくれる仲間であり、クラブ内全体が常に感謝の気持ちで接している□ 企画・開発・導入・レビューの仕組みが自分たちで行われており、継続的に行われているあなたの点数 /10
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