Fitness Business 60 ◎ May-June 2012160「10ポイントチェック」第6回目は、カテゴリー6「顧客価値創造のプロセス」について考えていこう。顧客価値創造という言い方をすると難しい感じもするが、これを「お客さまがクラブに対して帰属意識をもってくれるような活動をしていますか?」というと少しわかりやすくなるだろう。もっと簡単にいえば「お客さまに喜んでいただく企画を実施していますか?」ということである。あなたのクラブでは、会員さまが利用を継続し退会しないための様々な取り組みを行っていることと思う。顧客価値創造とは、クラブ内で行われている様々な活動について「こんなことをやったら、会員さまはきっと喜んでくれるに違いない」と考えて実施し、その結果についてもきちんと振り返り、内容を改善しつつ活動を続けていくことと定義するとしよう。あなたのクラブが、会員さまが望んでいることをかたちにして提供できれば、会員さまはクラブに対して「いいね!」と感じる。さらにいえば、会員さまが考えてもいないような潜在的なニーズまでをも掘り起こして対応できれば「素晴らしい!」となる。今回は、この「いいね!」または「素晴らしい!」を1人のアイデアマンの行動に頼らず、クラブの仕組みとして継続的に行っていくためにはどうしたらよいかを考えてみることにしよう。支配人の仕事として、自分のアイデアと行動力を発揮し、会員さまに満足してもらうことは大事なことだが、自分がもし異動となっても、その後も変わらず組織が動けるような状態をつくるために、“人財”を育成し、継続的取り組みができる仕組みをつくることのほうが重要である。実際に、サービスを提供するクラブ内のスタッフがする活動のことを基幹プロセスといい、本社機能や社外の関係者に手伝ってもらうことを支援プロセスという。顧客価値を創造していくには、この基幹プロセスと支援プロセスにどのように取り組んだらよいかということについて以下に解説しよう。視点1:基幹プロセスの取り組み前述しているように、大事なのはアイデアマンの行動力によって動いていることに満足せずに、組織として継続して動き続けることだ。ここでは4つのポイントがある。ポイント1.現場の着想や工夫を大事にするどんなに素晴らしい企画でも、それを会員さまに提供する現場のスタッフ自身が納得して動いていなければ、会員さまに価値は提供できない。例えば、支配人が「スカイツリーを歩いて見に行こう! ウォーキング大会」を企画しても、インストラクターが「なんか、上が企画しているけど、スカイツリーってどうやって行くの?」と他人事になっていては、その段階ですでにこの企画はうまくいっていない。これを、事前に支配人が「会員さまとクラブ、会員さま同士など、相互のコミュニケーションをエクササイズしながらできる方法はないかな? また、みんなの興味が湧くように、タイムリーな取り組みがいいと思うのだけど、どう思う? 例えばスカイツリーへのウォーキング大会みたいな感じでね」と聞いたとしよう。これだと、インストラクターは上からいわれたことではなく、「何がいいかな? 支配人のいっていたウォーキES「クラブ運営・経営品質向上の10ポイントチェック」へようこそ!株式会社アイ・ボックスコンサルティング 代表取締役◆ とがし・まさひろ1964年仙台市生まれ。株式会社アイ・ボックス・コンサルティング代表取締役。人財共育(人は財産、教える人もともに育つ)をコンセプトに飲食店・流通業などに各社カスタマイズした人財育成システムを開発する。特に、パートアルバイト・社員・店長の教育プログラム・評価制度開発には定評がある。『月刊飲食店経営』常連執筆者。著書に『アルバイト・フリーター採用&戦力化の教科書』『従業員満足の強化書』(ともに商業界)。’08~’10年には日本経営品質賞の審査員を務めた。HPとブログで動画セミナーを実施中。HP:「アイ・ボックス・コンサルティング」で検索。ブログ:「アイ・ボックス富樫のブログ」で検索。TEL:048-764-9561E-mail:open@ibox-c.co.jpprofile─顧客価値創造のプロセス簡単に自クラブのレベルチェックができるポイントを紹介する株式会社アイ・ボックス・コンサルティング代表取締役富樫正浩氏。今号では、顧客に価値を提供するまでのプロセスについて考える。クラブ、組織全体として意思統一を図って行動することで、皆が満足する結果を生むことができる。従業員満足連 載 32富樫正浩
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