Fitness Business 60 ◎ May-June 2012150こんにちは。シンコンサルティングの田村です。「退会防止ではなく、継続向上の視点での数々のお話は実践的でたいへん勉強になりました」「LTV(会員生涯価値)をどれだけ理解し、高めていくことが大切だと感じました」とは、私の「会員継続取り組みセミナー」にご参加いただいた方の声です。まさにその通り! 入会者に「継続」していただくことこそがフィットネスビジネスの本質であると同時に、経営体質強化につながる最大のポイントです。本稿では、「会員継続」のポイントと事例をお伝えします。経営者・マネジャーが 管理すべき重要な管理数値「あなたのクラブの会員1人あたりの平均在籍月数と生涯価値を教えてください」と私が尋ねてすぐに答えてくれた方はこれまでゼロです。平均在籍月数はおわかりですね。もうひとつの会員生涯価値とは、入会から退会までの間に会員がクラブに支払ったお金の総額(会員にとっての価値の対価で、クラブにとっての売上高)のことです。例えば、月会費1万円のレギュラー会員に入会したAさんが12ヶ月継続した場合の会員生涯価値は12万円(1万円×12ヶ月:月会費のみの場合)。24ヶ月継続したBさんなら24万円(1万円×24ヶ月)です(P151表参照)。このように、同じレギュラー会員でも継続期間によって会員生涯価値は一人ひとり異なります。AさんとBさんの生涯価値の差は2倍ですから、経営に与えるインパクトは甚大です。要するに、フィットネスクラブを経営するうえで、入会後にどれだけ「長く」会員であり続けていただくことができるかどうかは経営上の最大のポイントだということです。したがってまずは、「自クラブの会員1人あたり平均在籍月数と生涯価値はいくらなのか」を把握し、次に、それをどうやって高めていくかを考え、「仮説→実験→検証」するマネジメントとマーケティングはいわば、フィットネスクラブ経営の“一丁目一番地”といえます。ところが、いわれてみれば「確かにそうだ」と思うかもしれませんが、毎月の入退会者数や総会員数、あるいは月間売上高の内訳に関心をもつ人は多くいても、平均在籍月数や生涯価値を管理(マネジメント)している人は驚くほど少ないというのが私の実感です。 経営や運営上のキモとなる数値を管理せずに経営レベルを高めることはできません。会員継続に真の意味で取り組まれるのであれば、会員平均在籍月数と生涯価値はぜひ管理してほしいと思います。次に重要な管理数値は、利用開始月から「1年目の継続率」毎月の退会者数や退会率、あるいは初期定着として入会3〜6ヶ月間の継続率を重視しているクラブは多くあります。もちろんそれは重要です。しかしながら、会員継続という点で私が平均月数や生涯価値同様に重視している数値は、利用開始月から「1年目(12ヶ月終了時点)の継続率」です。私の経営サポート先企業さまのクラブでは、入会後の利用開始月から毎月時系列に継続率を管理していただきます。するとどのクラブでも一様に、退会者数や退会率だけでは「見えなかった」驚くべき真実を見出し、愕然とさMarketing価値を最大化させるマーケティングシンコンサルティング 代表◆ たむら・しんじシンコンサルティング代表。東京都出身。フィットネスビジネスコンサルタント、フィットネスビジネス勉強会専任講師、日本FP協会認定AFP。1985年ジャスコ株式会社(現イオンリテール株式会社)に入社。小売業・フィットネスクラブ事業等で、販売・営業・営業企画・商品・人事総務・経理・教育・店舗開発・新規事業開発等、幅広い分野で実務リーダーを務める。2007年8月末退社。同年10月、シンコンサルティングを設立。日本一競争が激しく、かつ顧客の生活に密着した流通小売業出身の視点でフィットネスクラブの入会・会員定着、収入・利益拡大、マネジメント、サービス向上に関するコンサルティング、セミナー、研修、執筆活動等を行う。フィットネス業界に関わる企業およびビジネスパーソンの成功をサポートいたします。ご連絡・ご相談は下記まで。TEL:03-5775-4538FAX:03-5770-7883E-mail:shin@stamura.comHP:http://www.stamura.com無料のメルマガ登録・ブログは上記HPからどうぞ。profile—フィットネスクラブマーケティングの3つの領域(5)フィットネスビジネスに加え、流通小売業にも精通したコンサルタント、田村真二氏にフィットネスクラブの価値を最大化させるマーケティング手法を連載でご紹介いただいている本稿。連載28回目は、「フィットネスクラブマーケティングの3つの領域(5)」について。マーケティング連 載 28田村真二
元のページ
https://fitnessclub.jp/business/e-book/fb60/index.html#150