Fitness Business 60 ◎ May-June 2012148今回は、新しいコンセプトクラブへの切り口として「シェア」について提言します。大きくは、場所をシェアする「スペースシェア」と、同じ場所を時間でシェアする「タイムシェア」に分けられますが、ここではハードの「スペースシェア」を基軸にご紹介します。近年急速に広がっている「シェアハウス」や「シェアオフィス」、「コワーキングスペース」、さらには定着してきた「メディカルモール」を読み解き、そのメリットをフィットネス業界に転換してみましょう。シェアハウスシェアハウスは近年広がっている居住スタイルで、ソーシャルアパートメントなど、その名称にはいろいろなものがあり、個人邸を改修したものから、大きなマンション的なものなど多様化してきています。「都会生活ビギナー」「リアルな人間関係」「濃いめの生活」「コンセプトのある生活」など、テーマも多様化しています。以下に、そのメリットをご紹介しましょう。1.お得感とコミュニティ形成そのメリットは、まずは「お得感」。各自の部屋は小さいのですが、シェアする共用部分のキッチン、ダイニング、ラウンジ、お風呂などは広め。要するに、イメージとしては広い空間に安く住めるわけです。また、ラウンジ、キッチンなど共用エリアでの交流も魅力です。例えば、シングルマザー限定のシェアハウスなどは、助け合い要素も大きなメリットです。2.安心感地方での家族との生活から、都会での一人暮らしの前に、シェアハウスで生活、というプロセスは、本人にも送り出す親にも安心感があります。外国人が日本での生活をスタートする際も同様、また居住者同士の「情報共有」や「イベント」も魅力のひとつです。大きなマンション1棟クラス規模のものになると、1階がカフェやコンビニ、2階がスモールオフィス、3〜5階が住居、最上階に共有のキッチンやラウンジがあり、ホテルライクな利便性があります。ここまで来るといわゆるスモールタウンのイメージに近く、仕事も生活もここで十分行うことができます。また、高齢者専用住宅も広い意味ではシェアハウスといえるでしょう。このように、若年層から高齢者まで年代問わず広がっていくことが予想されます。3.付加価値運営側もシェア部分を積極的に運用することで、価値観を高めていくことができます。入居者をクリエーター、起業家に限定したり、居住者同士で起業をしていくようなものも登場、コンセプト性の高いものを設定することでブランディングへと誘因していく方向性が多くなっています。次に、これらシェアハウスのメリットを、フィットネスの切り口から提案してみます。提案1.フィットネスハウスフィットネスを中心にしたシェアハウス。施設をつくってから入居者募集、というスタンスもありますが、ここではフィットネスというコンセプトのもとに集まった人や仲間とともに、住む場所をつくっていく、というスタイルです。実例ではCOLISH というサイトが行っている「シェアハウススタジオ」があります。スタジオを兼ねるリビングで行うヨガや代々木公園でフィットConceptual Clubビジネスの可能性を広げるキーワード「シェア」株式会社オーエルシージャパン 代表取締役◆ ささき・こうしょう一級建築士。1962年生まれ。’87年法政大学建築学科卒業後、安藤忠雄建築研究所入所。’90年OLC USA(デンバー)に入所、数々のスポーツフィットネス施設の設計実務を担当する。’97年より同社シニアプリンシパル(共同経営者)。’00年12月オーエルシージャパンを設立し、代表取締役に就く。’04年1月よりOLC DENVER副社長を兼務。主な担当プロジェクトにセントラルウェルネスクラブ(成城、日吉、西新井、川口、他)、ジェクサーフィットネスクラブ(赤羽、上野、東神奈川、他)、ロンドフィットネス&スパ東大和、他改修物件多数。TEL03-5251-8355FAX03-5251-8356 Web:http://www.olcjapan.com E-mail: ksasaki@olcjapan.comprofile海外事情に詳しい株式会社オーエルシージャパン代表取締役、佐々木康昌氏による連載。海外のみならず、近年日本でも浸透してきている「シェア」の考え方について述べる。その形態にはさまざまなものがあるが、それぞれのメリットをフィットネス業界に取り入れて業界を活性化する方法について提案する。施設創造連 載 12佐々木康昌
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