May-June 2012 ◎ Fitness Business 60147のお客さまが喜んでいます」「確認しておきます」「根性で頑張ります」などなど、例を挙げればきりがありません。これらはすべてマネジメントのうえでは「不要な言語」です。ちなみに、これらを正しいマネジメント用語に変換すれば、「入会目標100名に対し、20日時点で80名なので、結果は120名の見込みです」「アンケートの結果、参加された50名のお客さまのうち40名の方が『ぜひ、またやってほしい』と回答されました」「明日の14時までに確認し、結果を報告します」「残り3日間ですが、駅前での販促活動を社員全員で20,000枚配布します」といった具合です。では、次に2つ目の質問をします。□ご自身のクラブのトレーナーの数字力や分析力が弱いことに問題意識をもっている。ここまではトレーナーの課題のように記しましたが、これは経営陣の問題です。定量的判断というのは「マネジメント」の一部を指すわけですが、フィットネス業界で「マネジメント教育」を社内に体系的に整備している企業は希少だと思います。例えば、入会が不調ならば、それは販促物の内容なのか、量的問題なのか、エリアの問題なのか、回数の問題なのか、タイミングの問題なのかといったことを、経営陣はロジックで語る必要があり、仮に販促物の内容なら、それは訴求ポイントなのか、価格なのか、締切なのかといったことを「行動レベル」で具体的に議論することが求められます。しかし、多くは「なぜなんだ!」や「もっと入会を増やせ!」などと、“結果”を責めているのではないでしょうか。本課題の解決は社内のマネジメント教育体制の整備と、それに基づく週次会議の実施、および日次の言語づくりの実行と徹底だと思います。なことや、誰かが行っていたようなことが大半であり、医科学的に掘り下げたものではありません。この延長で満足するのは「ツボ」に入った一部のお客さまだけです。アドバイスすべきはお客さまを健康にするための、運動、栄養、休養の正しい知識と実践方法です。日常生活と関係ないような細かいトレーニング理論など教える必要はないのです。では、ここで1つ目の質問をします。該当したらチェックをお願いします。続いて私なりの対策を簡単に記していきます。□ご自身のクラブのトレーナーが自己満足的な専門知識に偏っており、クラブ運営やお客さまの健康づくりといった全体視点が欠落していることに問題意識をもっている。この対策は2つあります。1つ目は信頼できる「本物の専門家」と提携することです。トレーナーがお山の大将化するのは、自分がいかに「無知」であるかを思い知らせてくれる存在が社内にいないからだと思います。資格をいくら取得させても「にわか専門家意識」が強化されるだけで、かえって逆効果だと思います。2つ目は「1つ上位の概念」での思考を義務付けることです。これは、一般社員はチーフの概念で、チーフは支配人の概念でということでもよいかもしれませんが、私がイメージするのは「パーソナルトレーニング」なら「会費外収入」で、「会費外収入」なら「売上全体」でといったような勘定科目の概念です。これにより、自分の位置付けの大小を多少なりとも数字で意識できるようになると思います。2. 定量的判断に欠けているトレーナーと話していると「曖昧な言葉」があまりにも多いことに驚きます。例えば、「入会は好調です」「多く現場力の向上3. 細かなサービスに無神経今も昔も、フィットネスクラブスタッフの多くはトレーナーだけではなく、細かなサービスに対する「気づき」が弱いと思います。フィットネスクラブでは、一人のお客さまと話し込むスタッフ、曲がったままのポスター、修理期限の明示されていない故障中のマシンなどをよく見かけます。にも関わらず、その横をスタッフが掃除していたりします。こういうことに違和感がない人は「対人関係に無神経」「サービスに無神経」なのです。運動が得意であろうが接客が好きであろうが、「無神経な人」はサービス業に「不適」だと思います。では、最後の質問です。□ご自身のクラブのトレーナーがサービスや対人関係に対する「気づき」が弱いことに問題意識をもっている。よくサービスレベルのアップに「上質なサービスを体験させるべき」という意見があります。このこと自体は正しいと思いますが、上記に該当しているようなトレーナーには効果がないと思います。なぜなら、「上質なサービス」を体験させて効果がある人は、もともと「サービス感度」が高く、サービスに対する問題意識も高い人だからです。何十年も「鈍い状態」で生きてきた人が一瞬で変わることなどあり得ません。この改善には「数字での強制的な目線合わせ」しかないと思います。クラブの基準となる人を設定し、同じ光景や状況を見たときに、それが「良い」のか「悪い」のかを定量評価し、同時に「それはなぜなのか」までが基準者と一致するようになるまで、訓練を繰り返すしかありません。その結果を人事評価に反映するのが正しい対応だと思います。トレーナーはクラブの「顔」です。問題意識のある方はぜひ、具体的な対応を講じていただきたいと思います。
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