Fitness Business 60 ◎ May-June 2012146株式会社フィットネスビズ代表取締役CEO、遠藤一佳氏が現場トレーナーを戦力化するための5つの課題について、毎回1つずつその理由と対策について説明する本連載。今回は、自分の顧客にばかり注力し、クラブ全体についてまで考えが及んでいないことを指摘する。フィットネスクラブの トレーナーは専門家か?こんにちは。遠藤です。本連載では「現場トレーナーを戦力化するための課題」として以下の5点を挙げています。・一般常識が欠落した「社会人力」・トレーニングに偏った「専門能力」・パーソナルに特化し過ぎて、クラブ全体のお客さま継続率を向上させることができない「指導力」・クラブ運営を数字で語ることができない「マネジメント力」・サプリメント1つ売ることができない「セールス力」3回目の今回は「パーソナルに特化し過ぎて、クラブ全体のお客さま継続率を向上させることができない指導力」について取り上げます。トレーニングジムには、一般の会員さまをそっちのけにして「クライアント」と名付けた自分の顧客のみに熱心に対応するトレーナーがたくさんいます。「木を見て森を見ず」という言葉がありますが、まさにこの状態です。では、彼ら全般に欠けている能力とは何でしょうか? 私は以下の3点だと思います。1. 全体視点に欠けている物事というのは「全体」を把握することができて初めて「部分」を理解することができるのです。このことをわかりやすく説明するために、少し強引な例え話を引用します。「AさんとBさんは『東京駅のコンビニエンスストア(以下、コンビニ)の前』で待ち合わせることにしました。しかし、Aさんは北口のコンビニ前へ、Bさんは南口のコンビニ前に行ってしまいました。これを空(全体)から見ていたカラスはカーカーと笑っていました」クラブ運営もこれと同じです。目の前のことだけ見ていても、正しい成果にはつながっていきません。例えば、勤務の大半をパーソナルトレーニング指導に費やしているトレーナーがいたとします。顧客数は50名とします。この50名からは熱狂的な支持を受け、「先生」などと呼ばれて大人気です。しかし、この50名というのは全会員数の何%なのでしょうか? また、その「パーソナルトレーニング売上」はクラブ全体の売り上げの何%なのでしょうか? 会員数2,500名で総単価8,000円だとすれば、月間売上は2,000万円。そのうち80万円を稼いでいたとしても「3.2%」です。仮に自分の勤務時間の80%をパーソナルトレーニングに費やしていたとします。その場合、この「80%」対「3.2%」というのは妥当性があるといえるでしょうか。このような「近視眼的」なことに価値を見出している間に、月間4%も5%ものお客さまがクラブを辞めているとしたらどうなるのでしょうか? 間違いなくクラブは閉鎖の道へと向かいます。この「近視眼的」な価値観はトレーニング指導にも現れます。私はフィットネスクラブのトレーナーやインストラクターの多くは「健康のためのアドバイス」ではなく、「自分が信じる理論(うんちく)」をお客さまに押し付けていると思います。「うんちく」ですから、そのソースは本で読んだようBiz Trainerトレーナーの戦力化株式会社フィットネスビズ 代表取締役CEO◆ えんどう・かずよし(株)フィットネスビズ 代表取締役CEO1964年9月1日、東京都出身、日本大学文理学部体育学科卒。(財)三菱養和会、小田急電鉄(株)、(株)ルネサンス、(株)ワークアウトワールド・ジャパンで、トレーナー、企業フィットネス、SV、副支配人、支配人、営業部長、営業本部長、役員を歴任後、2007年6月にフィットネスビズを設立。2008年度は富士アスレティック&ビジネス専門学校「パーソナルトレーナー学科」で講師も務める。新店の開業集客、既存店のリノベーション再生、マネジメント導入による収益改善、およびリーダー養成など、クラブの経営、運営に必要なトータルな内容について幅広い実績とノウハウを持つ。★フィットネスビズのホームページ: http://www.fitness-biz.net★成長を目指すリーダー必読のメルマガ「フィットネスビズ通信」の無料登録も上記ホームページから!★毎日更新中のブログ!「人生をやろう!」:http://fitbiz01.exblog.jp/★E-mail:endoh@fitness-biz.netprofile─第3回「パーソナルに特化し過ぎた“指導力”」現場力の向上連 載 3遠藤一佳
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