Fitness Business 60 ◎ May-June 2012142フィットネスクラブのスタッフは、お客さまの欲求を満たしてさしあげるテクニックを持ち合わせていなければなりません。特に、40歳を超えたお客さまは社会的な立場もあり、経験も豊富で、よいサービスはどういうものかを知っています。したがって、スタッフはそうしたお客さまの目標の達成や悩みを解消するためにサポートをスマートに提供し、気持ちよく継続して通っていただくようにしなければいけません。そのためには、以下の10の心理学的アプローチを駆使して確実に会員になっていただき、継続的なサポートをすることが大事です。① 承認→重視、傾聴、共感「承認」とは、存在を認めることです。人は、自分のことを誰かにわかってほしい、存在を認めてもらい、受け入れてほしいと思っています。認めてもらえなければ「無視」されていると感じます。名前で呼ばれ、挨拶され、続いて「膝の具合はどうですか?」と、気にかけてもらう。さらに、自分はほかの人よりも丁寧に扱われていると感じたときに、「重視」されていることを感じます。「膝の痛みは辛いですよね!」と話を親身に聞いて(傾聴)くれて、気持ちに寄り添ってくれる。それがお客さまにはとてもうれしいのです。② フューチャーページング「フューチャーページング」とは、文字通り未来のページです。お客さまの3ヶ月後の未来のページをつくってさしあげるのです。それに向けて見通しを立て、達成するためのトレーニングやボディメンテナンス、栄養アドバイスを提案・提供していきます。来館時のお客さまの漠然とした要望(例えば、「なんとなく痩せたい」)をより具体化します。できるだけ数字で表現するとよいでしょう。例えば、「3ヶ月後には今よりも5キロ痩せて、ウエストを5センチ引き締める。ヒップアップし、29インチジーンズも颯爽と履ける」というように表現します。夢のような未来を充分体感してもらうのです。③ ラポール(rapport:親和感)「ラポール」とは、フランス語で「橋を架ける」という意味です。心が通じ合い、お互いを信頼し、相手を受け入れることができる、相手と自分との間に橋が架かっている状態のことです。トレーナーとして未来のページを開いていくために、そのお客さまがどうしたら無理せず継続してもらえるかを心から考えるのです。各ページの目標達成まで、プログラムの作成から実践、検証、さらなるプログラムの見直しと、クラブに来ているときはもちろん、クラブに来られないときでもメールや電話でフォローしましょう。親身になってともに考え、悩み、歩むことで、喜びと楽しさ、苦しさを共有します。トレーナーは「常に見ていますよ」という姿勢と、「私と一緒にがんばりましょう」という気持ちでお客さまに寄り添います。「必ず、あなたなら成功できる」という強い意識を継続して持ち続けることでよい信頼関係が継続し、目標達成後は、大いなる感謝をお客さまから受けることになるでしょう。④ セルフイメージ(self image)「セルフイメージ」とは、クラブでの「環境づくり」と「経験・成功事例の提示や掲出」によるモチベーションのRetentionお客さまをその気にさせる! 心理学的アプローチ株式会社プロフィットジャパン 代表取締役◆ 菊賀信雅(きくが・のぶまさ)1983年筑波大学体育専門学群卒業。セントラルスポーツ株式会社入社。フィットネス事業の創設スタッフとして100クラブ以上の開設に携わり、主に指導プログラムの開発・研究、社員教育などに従事した。さらに、外部企業の社員健康教育、厚生省委託研究(健康づくりシステム開発事業)の委員に選任され、社外業務にも携わる。’92年プロフィットジャパンを設立し、独立。コンビニフィットネス事業を推進する一方、人材育成と健康づくりのシステム開発・カウンセリングなどにも携わっている。茨城大学教育学部講師、健康運動指導士、ヘルスケアトレーナー、スポーツプログラマー。主な著書に『やわらかい体は太らない<わたしでもできちゃうコンビニフィットネスブック>』がある。profile「コンビニフィットネス」を展開している株式会社プロフィットジャパン代表取締役菊賀信雅氏。今号では、お客さまの運動意識、目標達成意識を高めて即日入会獲得を実現する心理学的アプローチを紹介する。会員定着連 載 11菊賀信雅
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