Fitness Business 60 ◎ May-June 2012140数々の指定管理案件の公募に応じている住友不動産エスフォルタ株式会社山﨑隆司氏。今回は、4月に新たに受託した施設について述べる。どのような点を工夫・提案したのか。どの部分が他社と異なっていたのか、その勝因について詳しく紹介する。住友不動産エスフォルタは、4月に独立行政法人 国立青少年教育振興機構が運営する国立オリンピック記念青少年総合センター内にあるプール(以下、本プール)を5年間の契約で受託することに成功し、5月9日にオープンしました。受託に至る経緯ご存知のように、指定管理者制度は地方自治法に定められた制度であることは、本誌読者も承知のことと思います。本プールは昨年3月の大震災以降、休止しており、再開にあたっては、蓮舫行革担当大臣から、単純委託ではなく、指定管理者制度のように、収入と経費の差額をコンペティションし、独立法人の収支改善に努めるよう、きつく御達しがあったと聞きます(念のために申し添えておきますが、あくまでも落札後の後日談であり、事前にこの内容を知っていたわけではありません)。そこで担当独立法人は、利用料金や団体向けのコース貸出料金の設定を含め、応募者に提案してもらうこととし、企画競争方式で受託者を公募することになったわけです。結果的には、セントラルスポーツ株式会社さまや株式会社イトマンスイミングスクールなど、数社の企画競争となりました。結果、応募した6社のなかから当社が選ばれました。勝利の要因当社は、以下の内容の提案を行いました。利用料金も提案項目でしたので、渋谷区を中心に公共プールの平均利用料金を調査し、大人4,000円(50円値上げ)、子ども150円(据置)としたうえで、団体料金も1日4区分から6区分に増やし、1,000円の値上げを提案しました。この提案により震災前の入場者数でも、値上げ分で増収を図ることができるようになりました。しかし、ここまでは各社でも容易にできる提案内容です。では、一体何が勝因となったのでしょうか。当社提案の優位性は 根拠の確かな予測値当社は、すべての公共施設の年間来場者数を正確に予測することができます。この数値を積み上げ方式で提示できることが大きな優位性になっているのです。公共施設は、民間フィットネスクラブと違って会員制を採用しておらず、Public Facilities指定管理者制度の概要と特性7住友不動産エスフォルタ株式会社 業務推進部 企画開発室長◆やまざき・りゅうじ1953年11月22日生まれ、58歳。明治大学を首席で卒業後、日産自動車に入社。社長賞3回受賞。名古屋で年間300台の販売記録は、まだ破られていない。日産スポーツプラザ、コナミスポーツ&ライフ、ティップネス、明治スポーツプラザにて指定管理部門を担当、60ヶ所以上の獲得実績がある。現在は住友不動産エスフォルタにて、受託事業部企画開発室長。profile指定管理実務連 載 8山﨑隆司◆表 感度分析事例(単位:万円標準ケース売上高が変動固定費が変動変動費が変動変動率0%20%−20%20%−20%20%−20%売上高2000240016002000200020002000固定費300300300360240300300変動費12001440960120012001440960利益500660340440560260740
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