May-June 2012 ◎ Fitness Business 60137い、よく理解してもらう必要がある。その際、その施設が地域住民にとって利用する価値があるのか、「顧客にとっての価値」が伝わらなければならない。そして、施設を利用してもらったら、利用者が期待していた通りの価値が見出され、満足してもらえるかが大切になる。利用者にとっての価値が期待はずれで満足できなければ、ファンやリピーターにはなりにくいばかりか、ほかの地域住民への口コミなどを通じて悪影響を及ぼすこともある。顧客としての地域住民顧客としての地域住民には、年代別には、乳幼児・幼児から、小学生、中高生、成人、高齢者に至るまで、様々なライフステージとライフスタイルがある。また、健常者のみならず障がい者の利用や、通勤・通学、子育て中の方などの利用も視野に入れる必要がある。民間のスポーツクラブと公の施設の大きな違いがここにある。民間スポーツクラブの場合には、顧客ターゲット層を明確にして顧客開拓を行い、会員制度によるリピーター層を増やしていくのが一般的であるのに対し、公の施設の場合には、すべての地域住民を対象に、価値があり満足できるサービスを提供して指定管理者制度◆図1 公の施設に係わるステークホルダー◆図2 施設の立地条件を視野に入れたマーケティングいくことが求められるからである。自治体によっては、「利用者を特定化する会員制などの利用形態は認めない」(川崎市など)ところもある。顧客の創造公共スポーツ施設の設置目的には、大きく「生涯スポーツの推進」と「スポーツ実施率の向上」がある。これを実現していくためには、普段あまりスポーツに親しみのない地域住民の方々にも、気軽にスポーツを実践してもらえる場や機会を提供し、施設利用者層を拡大していくことであり、まさに顧客の創造であると考える。施設の立地条件と商圏一般に、公共スポーツ施設の商圏は、一次商圏の2kmと二次商圏の5kmで考えられることが多い。一次商圏の2kmは、徒歩または自転車などにより一般的な利用者が気軽に立ち寄れる距離にある。二次商圏の5kmとなると、電車やバスなどの交通機関または自動車などを利用する必要が生じるため、専門的な利用者が多いようである。5kmを超えるエリアでは、競技会への出場者や特別イベントへの参加者な
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