Fitness Business 60 ◎ May-June 2012136はじめに今年も、5月の連休明けから指定管理者の公募が始まり、秋まで続くと予想される。毎年、指定管理者に応募される民間企業や関連団体、行政、審査員の方々にとっては、案件が重なることもあり、あつい(暑い、熱い)季節が到来する。弊社では、指定管理者制度のみならず、総合評価やPFI事業にも携わっているが、最近の傾向として、提案書の内容や表現方法が高度化するとともに、図表などを用いてよりわかりやすくすることが求められるようになった。ここ数年で、弊社でも専門のデザイナーが増え、提案書は格段に進化しており、競争の厳しさと相俟って、依頼件数が急増している。現時点での集計では、累積の取組案件数は250件を突破しているが、落札(選定)確率は、依然として50%以上をキープしている。今回は、集客に向けた効果的なプロモーション活動について述べていきたい。民間企業においては、マーケティングやプロモーション活動は当然のごとく重要視されているが、公の施設に関しては、これまで必ずしも充分であったとはいえない。関係者の間でも、自らが住んでいる地域にどんな公の施設があるか知らず、利用したことがない方々もいるのが実情であろう。マーケティングとプロモーションマーケティングという言葉をよく聞くが、その定義や概念については、学者や団体などによっても異なり、時代の変化とともに改められてきている。アメリカ・マーケティング協会(AMA:American Marketing Association)では、「マーケティングとは、顧客、依頼人、パートナー、社会全体にとって価値のある提供物を創造・伝達・配達・交換するための活動であり、一連の制度、そしてプロセスである。」(2007年改定の定義)としている。プロモーションとは、一般に広告・宣伝・PRなどの活動のことといわれている。なお、PRとは、広告・宣伝と同義語のように使われているが、元来はパブリック・リレーションズ(public relations)の略語であり、個人・組織間での相互理解と関係性向上に向けた活動を意味している。公の施設の指定管理者にあてはめるならば、マーケティングとは、地域社会のステークホルダー(利害関係者)、すなわち地域住民や行政などに対し、価値あるサービスを創造し提供していく活動や仕組みのことであり、プロモーションとは、施設の認知度を高め地域住民にもっと利用してもらうための広報宣伝・PR活動のことであると考える。なお、P137図1に公の施設に係わる様々なステークホルダー(利害関係者)の参考例を示す。ドラッガーによる 「顧客の創造」と「顧客の満足」ドラッガーは、「事業の目的とは顧客の創造」であり、「顧客を満足させることが組織の使命であり目的である」といっている。では、顧客とは誰か? 公の施設にあっては、地域の住民である。常に住民本位で考え、施設に来る様々な利用者を増やしながら、満足してもらうことが大切である。施設に来てもらうためには、まず地域住民に施設のことを認知してもら公共スポーツ施設の指定管理者制度をはじめ、PFIや総合評価方式など、公民連携事業の公募の第一線で、事業計画書の作成およびコンサルティングに携わり、高得点の取れる事業計画書で定評のある、ベックス株式会社代表取締役岡崎明晃氏による指定管理者制度に関する連載講座の7回目。PPP Strategy集客に向けたマーケティングと効果的なプロモーション活動ベックス株式会社 代表取締役◆ おかざき・あきみつ東京都出身。1975年早稲田大学理工学部卒業。三菱化工機、東燃化学でプラントエンジニア、新規事業企画、開発営業などに従事し、早稲田大学ビジネススクールにてベンチャー起業理論コースを習得。設計・建設・維持管理から経営マネジメントに至るまで幅広い知識とノウハウを活かして、ベックス(株)を’03年に創設。指定管理者はもとより、PFI、市場化テスト、総合評価方式などの公民連携事業において、スポーツ施設、公園、病院、学校、科学館、図書館、上下水道施設、廃棄物処理施設など150件以上の公募案件に携わり、落札率は50%を超えている。また、関係方面から高い評価を得ている提案能力とデザイン能力をベースに、広報企画業務として、WEB、リーフレット、コミュニティ紙などの制作を行うとともに、モニタリング業務も実施している。TEL:03-5298-0121 FAX:03-5298-0123E-mail:info@bex-corp.jpURL:http://bex-corp.jp/profile岡崎明晃指定管理者制度連 載 7
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