134Fitness Business 60 ◎ May-June 2012結果的によかったと思います。―独立した当初、どのように経営を行っていったのですか。分社化した時点で部署に約50人がいましたし、すでにそれぞれのクライアントがいました。ですから、その経験を皆で共有して、皆で経営理念をつくっていきました。創業社長が引っ張っていくのとは違って、皆で会社をつくってきたという感覚があります。役員も私を含めて5人いるので、重要なことは今も5人で話し合って決定しています。―設立してから順調に成長しているようですが、なぜだと思いますか。まず、分社化する前にこの事業が成長した理由として、社員に任せるマネジメントを行ったためだと思います。それまでは社員の働き甲斐よりも、どのように事業計画を達成させるかというマネジメント方法でした。ビジネスモデルも確立していないなか計画達成を目標としており、組織が疲弊していたのです。私たちは当時から従業員感動満足度ということを唱えていたのに自分たちはできていませんでした。それに気づいたのです。そして、業績を上げるよりも理念に近付くことが大事だと考えるようになりました。私たち―MS & Consultingとして分社独立した経緯を教えてください。コンサルティング会社の一部門としてミステリーショッパーのサービスを’00年からスタートし、’04年から本格的に事業展開していきました。その後飛躍的に伸びたので、それを活用したコンサルティング会社として分社化することになりました。私自身は、入社後IT関連の新規事業として外食業界向けのシステム事業の展開に携わっていました。事業再編のなかでミステリーショッパーの事業に関わることになりましたが、正直当初はミステリーショッパーにそれほど可能性があるとは考えていませんでした。しかし、コンサルタントのメンバーのひとりが「お客さまが喜んでくれる仕事だ」と言っているのを聞き、改良すれば自分たちが目指すビジネスモデルに近付けると気づきました。そこから、ミステリーショッパーを通じてお客さまに喜んでもらうためにどうしたらよいかを考えることに注力していきました。クライアントは、単純にミステリーショッパーの結果を求めているのではなく、お客さまの満足や従業員のモチベーションアップを求めています。どのように活用したらそれを提供できるかのノウハウをつくっていきました。分社化したのは、会社のリストラクチャリング(再構築)の一環ですが、Leadershipトップインタビューミステリーショッパーによる調査を中心に、コンサルティングを行っている株式会社MS & Consulting。同社は自分たちの経験から「従業員感動満足なくして顧客感動満足なし」と掲げ、サービス業発展のサポートを行っている。渋谷行秀 氏社員の自主性を尊重して、従業員感動満足度を高めるPersonal Profile(しぶや・ゆきひで)1973年東京都生まれ。’96年東京工業大学物理学部卒業後、株式会社日本エル・シー・エーに入社。’02年より同社で始まったミステリーショッパー事業に携わり、’08年5月に株式会社MS & Consultingとして分社独立。常務執行役員に就任。株式会社MS & Consulting 常務執行役員
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