Fitness Business 60 ◎ May-June 2012132凡なものです。それに手をかけ、とても美しく盛り付けてお客さまを喜ばせるのです。「美味しい!」「凄い!」と喜ばれるのにご満悦だったのです。子どもだった私は嫌々お手伝いをしたものですが、気が付くと父と同じことをして満足している自分がいます。ホスピタリティはとても奥深い言葉ですが、わかりやすくいうと「おもてなしの心」ではないかと思います。気配りの行き届いた日本旅館や、外国の素晴らしいホテルやレストランで、上質なサービスでおもてなしをされたときに感じた心地よさや感動の体験も、今の私の価値観のベースになっているかもしれません。―江本さんご自身に、潜在的にそういう性格、志向があったのかもしれませんね。人が喜ぶと自分も嬉しくなるのでしょう。江本:そうですね。相手がどうしたらもっと喜んでくれるか、もっと笑顔になってくださるか、驚かせることができるか…。そんなことを考えるときはワクワクしますね。しかも、それが仕「ありがとう」と、感謝されるクラブをつくりたい本誌の連載「フロント改革」でおなじみの江本紀代美氏が、人材育成コンサルタントとして今春独立した。フィットネスクラブ経営・運営会社に対して、江本氏がどんな考え方で、どのようなサービスを提案し、業界をどのように変えていこうとしているのかなどについてインタビューした。実務に精通しているだけに、同氏が示すその方向性には現実味があり、活躍が大いに期待される。(訊き手、本誌編集長古屋武範)Special Interview江本紀代美(えもと・きよみ)元株式会社ミズ・アビリティ代表取締役。日本産業カウンセラー。人材育成コンサルタント。スポーツクラブを中心にサービス業の「コミュニケーション能力向上」や「CS」などに関する研修・講演活動を展開している。本誌では「フロント改革」として連載も担当。今春より独立し、さらに活動の場を広げていく。江本紀代美氏―春から、これまでお世話になっていたスポーツクラブ運営会社から離れ、独立されるとお聞きしています。これまでの活動を簡単に振り返っていただけますか?江本:そもそも当社はイベントなどへコンパニオンやナレーターを派遣する会社でした。1980年代、関西で初めてこうした業務を行う会社として事業をスタートし、業績を伸ばしていくなか、その後たいへんお世話になるスポーツクラブさまとの出会いがありました。当時はスポーツクラブも出店ラッシュで人手不足でした。最初はごく短期のお手伝いのつもりでフロントスタッフの派遣をしていましたが、その後、社員スタッフなどの接客研修も担当させていただくこととなり、スポーツクラブに関係した業務がメインとなっていきました。3年前には取引先のスポーツクラブと合併し、より深く運営面に絡んでいくことになりました。特に人事・教育という面での業務に注力して、取り組んできました。―江本さんの価値観は「ホスピタリティ」にあると感じているのですが、何かきっかけはあるのでしょうか?江本:それは小さいころに父から受けた影響ではないかと思います。父は知人や親せきが来るとご馳走でおもてなしをしました。決して裕福な家庭ではありませんでしたので、食材はごく平特別インタビュー
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