May-June 2012 ◎ Fitness Business 60131て、忙しい日々のなかでも気軽に利用できるクラブを求めるようになると思います。また、小さくて、自宅近くにあるジムに魅力を感じる人が増えています。なぜなら、そのような場所は混雑が少ないとみられるからです。さらに、小規模施設であれば、スタッフとの距離が近く、同じメンバーと顔を合わせることが多くなるため、密な関係を築くこともできます。この点も、人々の所属意識の高まりに合っていると思います。加えて、小規模施設ならば、大きなクラブ以上に地域のニーズに応えやすいはずです。例えば、比較的若者が多く住む、都会のやや裕福な地にある施設であれば、彼らが好むヨガやグループサイクリングクラスを提供すればニーズに対応できると思います。CBI:一方で、これから競争が激しくなるこの業界で、大きなクラブは小さなクラブを買収していくだろうと述べていますね。なぜそう思うのですか?MN:IBISワールド社の調査と計算によれば、’08〜’11年の間に多くのクラブが平均、年率1.3%の割合で業績の悪化が見られました。経済の落ち込みにより、いくつかの小さな施設は閉鎖しましたが、なかには大きなクラブに買収されたものもあります。例えば、2010年、LAフィットネスはフェニックスのメトロポリタン地区にある10施設のピュアフィットネスを買収しました。そして、それらの8施設は閉鎖し、そこに属していた会員は現存のクラブに移行しています。CBI:何人かの業界のオブザーバーは、現在の経済環境では、中間帯にいるクラブは大きな脅威にさらされるだろうと述べています。あなたも同意見ですか?MN:それは間違いないでしょう。私たちの調査結果でも、価格重視の消費者はシンプルな設備の小規模施設を選び、規模が大きく価格の高いクラブを避ける傾向が見られます。そのほかの消費者は、相応の金額を払う分、サービスが充実している大規模クラブを選ぶ傾向が見られます。一方、中間帯のクラブはどちらのカテゴリーにもあてはまりません。ですから、それらのクラブがもし多くの顧客を惹き付けたいならば、サービスを変える必要があるでしょう。CBI:レポートの中に、アメリカのほとんどの地域は、人口密度に対するクラブ数が適正な割合にあり、今後中東部の地域では施設が過密化するだろうと書いています。それはなぜですか?MN:中東部の地域は、人口密集地域であるだけでなく、富裕層が多く住んでいます。そのエリアの可処分所得は高く、消費者は積極的にクラブに入会する傾向があります。また、この地域は、ニューヨークやフィラデルフィア、ボルチモアなど、非常に大きな都市を含んでいます。都会に住む忙しい消費者こそ、より近くにあって通いやすいクラブを求めますから、そのニーズに応えようと多くのクラブが出店していくと思われます。CBI:現在は、上位4社の売り上げが業界総売上の13%を占めていますが、これからの4年間でこの割合は変化していくと思いますか? また、その理由についても教えてください。MN:私は、基本的には変わらないと考えています。大企業は引き続き彼らがターゲットするマーケットで、会員数と店舗数を増やすために小さな企業を買収していくでしょう。しかし、新業態からの参入も引き続き増え続け、顧客が望む新しい商品やサービスを提供していくと予想しています。CBI:現在の経済環境下では、これから何年にもわたって合併や買収が行われていくのでしょうか?MN:そう思います。おそらくマーケットシェアを拡げるために買収を行う企業は増えていくでしょう。しかし、それを相殺するかのように、小さな企業が引き続き業界に参入してくると思います。CBI:フィットネス業界を、あなたが今まで調査してきたほかの業界と比較したときに、フィットネス業界に投資する魅力を1〜10(10が最も魅力的)で評価するとしたら、どうなりますか?MN:投資家に対しての魅力という点では、評価するのが難しいですね。しかし、当社では、業界のリスクについては点数化していますから、投資リスクという観点からは評価できます。それは、業界の基盤、将来性、経営状況などについて採点化するもので、1〜9で示します。1が最もリスクが低く、9が最も高いリスクがあることを表しています。この業界には3.92の評価点をつけています。私たちはまた、’12年の終わりには、さらにこのリスクは下がるであろうと予測しています。その要因は、アメリカの経済状況が改善していくと思われるからです。’11年から、1人あたりの可処分所得が徐々に増えてきています。CBI:ちなみに、あなた個人としてはヘルスクラブは投資先として魅力的だと思いますか?MN:クラブがよい投資先かどうかについて、私は述べることができる立場にありません。しかし、これだけはいえます。この業界は毎年成長し続けており、消費者の健康意識も高まっています。特に、今後4年間は、団塊の世代がクラブ業界を盛り上げていくでしょう。(© APR.2012 ClubBusinessInternational)メアリー・フェルナント氏
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