Fitness Business 60 ◎ May-June 2012130■ 「ジム、ヘルス&フィットネスクラブ業界」 レポートから見る米国のフィットネス業界のこれから─健康意識高まる団塊の世代が業界を牽引IBISワールド社がまとめた米国最新の業界レポート、「ジム、ヘルス&フィットネスクラブ業界レポート」のチーフアナリストであるメアリー・フェルナント氏。業界の未来は明るいと述べる彼女に、その理由やレポートについてインタビューした。CBI:こんにちは。レポートの内容についてお訊きする前に、まずIBISワールド社について教えていただけますか?Mary Nanfelt(以下、MN):私たちは、アメリカの事業についてリサーチする、世界で元も大きな独立系リサーチ会社です。専門の調査員が700もの業界についてリサーチしています。当社はあくまでも中立な立場から、わかりやすくまとめています。顧客は私たちのレポートを、マーケットサイズや競争相手の情報(ベンチマーキングや将来の見通しなど)、ビジネスプランの立案、本の出版などに活用するほか、ビジネスの評価や、法的な内容の確認などにも活用しているようです。このレポートは経済専門家、経営コンサルタント、ビジネスブローカー、起業家など、何かの事業について調べたい方々にとって魅力的なものだと思います。CBI:あなたはなぜ「ジム、ヘルス&フィットネスクラブ業界」のリサーチャーになることを決めたのですか?MN:私はこれまで飲食業やレクリエーションを含むさまざまな業界について調査を行ってきました。そのような中でも多くの時間をフィットネスセンターで過ごしていたのです。また、高校や大学では、ラクロスとクロスカントリーで鍛えていましたから、トレーニングには馴染みがあります。CBI:ちょうど32ページにわたる最新の「ジム、ヘルス&フィットネスクラブ業界」レポートを発行したところですが、これは定期的に発行しているものですか? また、調査はどのように行っているのでしょうか? MN:私たちが前回このレポートを発行したのは2008年です。米国中には何千ものクラブがあり、この業界は国民のGDPにも大きな影響力がありますから。今回の最新レポート作成にあたっては、IHRSAやアメリカの経済調査局、労働統計局、そして国際スポーツ用品連合会などのデータをもとに監修し、過去5年間の業界の評価および、次の5年間の見通しを立てています。CBI:レポートでは、’08年と’09年、この業界自体は経済の落ち込みの影響をそれほど受けなかったと述べていますね。確かにほかの業界と比較して、このフィットネス業界の落ち込みは軽いものでした。その理由をどう考えていますか?MN:消費者のなかにはフィットネスクラブの会員になることを「贅沢なこと」と捉えている人がいる一方で、より健康を重視している消費者にとっては、エクササイズをして健康を維持し続けることはとても優先度が高いことです。それゆえ、経済状況が悪くなってきても、多くのアメリカ人はジムに通い続けました。それが日々を健やかに過ごすために大切だと考えているからです。また、この時期は、限られた設備しか備えていない小規模施設がたくさんオープンした年でもあります。これにより、価格に敏感な人々も金銭面を気にすることなくジムを使い続けられるようになりました。以上の2つが業界の落ち込みを抑えたのでしょう。CBI:あなたは’16年まで、この業界は年率2.6%の割合で拡大し、会員は4,750万人に、そして総売上高は28兆2,000億円に達すると予測していますね。その理由を教えてください。MN:今後の5年間で、人口の増加や市の統合などが予測されることが、この事業の成長を助けると思われるからです。さらに、これから増える団塊の世代は歳を重ねても引き続きアクティブなライフスタイルを維持したいと思っていますから、その多くがクラブに入会すると思われます。また、子どもの肥満が親にとって引き続き大きな懸念事項である一方、多くの学校は体育の授業を縮小し続けています。ですから、(17歳以下の)子どもたちがクラブに入会することも予想されます。特に、彼らの親がすでに会員となっていればなおさらでしょう。18〜34歳の世代については、一般的にお金も時間も比較的自由にできますし、もともとクラブなどでアクティブに過ごすことに強い興味がある層であることも増加要因に挙げられます。CBI:レポートでは、気軽に利用できる、小規模施設の成長についても記しています。この流れを引き起こしているものはなんでしょうか?MN:これからは、より忙しく過ごす人が増えると思いますから、そのような人は自宅や職場に近いところにあっ
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