Fitness Business 60 ◎ May-June 2012128■ 有益な情報で業界拡大を支える 『IHRSAトレンドリポート』た。「私たちは、トレーナーの約90%が、クライアントのワークアウトの履歴についてまったく把握していないことを知ったのです。現在は、わざわざフォルダーからカルテを探しだすことなどせずに、トレーナーは顧客の過去のワークアウト履歴をチェックしたり、最近行ったワークアウトを確認することもできます。これにより、顧客はより短期間で身体を鍛えたり、痩せることができるのです。なぜなら、トレーナーは、顧客がどのようなワークアウトをしてきているのか、きちんと理解しているのですから」。また、トレーナーたちがそのアプリを使って個人客やグループに対してワークアウトを提供すれば、彼らはさらに収入を増やすことができる。「トレーナーが1日に働ける時間は限られています。このワークアウトをシェアするアプリは彼らをその制限から解放したのです。このアプリが遠隔でのトレーニング提供を可能にし、収入手段を増やしたのです」とシュロスバーグ氏は語る。さらにもうひとつ、トレーナーを時間や地理的な制限から解放した製品がある。それはWelloと呼ばれるアプリである(P127写真参照)。このアプリは、時間が合わないトレーナーと顧客、またはジムに行きたいという要望をもつ顧客に対してのサービスを提供するものである。サンフランシスコに拠点を置く、このアプリを開発した企業の創設者であるレズリー・シルバーグライド氏は次のように述べる。「顧客は、オンライン環境さえあれば、自宅やオフィスなど、どこにいてもトレーナーのセッションを受けることができます」。このアプリがもたらすメリットは、顧客はトレーナー本人からきちんとフィードバックをもらうことができること、そしてトレーナーはスケジュールの空き時間を有効活用できることである。クラブ側も、時間をロスすることなく、トレーナーたちに働いてもらうことができる。さらに同氏は次のように述べている。「私たちのアプリでは、エクササイズだけでは健康には不十分だと伝えています。例えば、ナイキプラス(Nike Plus and Walk with Walgreens)のような新しいヘルスクラブシステムのように、それ以上の情報をお伝えしていきます。これからもテクノロジーは進歩し続け、私たちが一般的だと思っていたクラブのビジネスモデルを変化させていくでしょう。経営者たちは、何が起きているのか、見過ごしてはいけません。このような流れを私はオンライン進化論と呼んでいますが、これは一部の人々を神経質にさせるでしょうが、決して悪いことではないのです。存続できない組織と存続できる組織、その2つの違いは適応能力にあると思います。あなたは、ただ考えを柔軟にして学び続け、流れに適応していけばいいのです」と提案する。(© JAN.2012 ClubBusinessInternational)確かな事実をもってしてのみ、自クラブの経営状況を知ることができ、時代に合った戦い方を知ることができる。また、それに基づいてのみ、自身が長年培ってきた、もっとも信頼できる、自身の直感も含めた意思決定を下すことが可能になる。幸いなことに、IHRSAは毎年健康産業に関するデータを集めて出版している。ここでは、たくさんのデータのなかから、選りすぐりのものを紹介したい。『成功へのプロファイル—ヘルス&フィットネスクラブ業界調査データ一覧』:オハイオ州ダブリンにある調査会社インダストリー・インサイト社と共同で製作されたこの資料は、自クラブの状況を他社と比較して把握することができる、有益な多くのベンチマーク情報が掲載されている。『IHRSA ヘルスクラブ消費者レポート—ヘルスクラブアクティビティ、活用方法、トレンド分析』:イギリスに拠点を置く調査組織であるスポーツマーケティング調査会社の協力によって出版されたこのレポートは、アメリカのフィットネスクラブにおいて会員や見込み客がどのようにしてクラブに参加するにいたったかについて、貴重な見解を示してくれる。さらに今、IHRSAはマネジメントに関する情報ライブラリーに価値あるデータを付け加えようとしている。それは、『IHRSAトレンドリポート』である。コロラド州ボルダーに拠点を置く余暇についてのリサーチ会社によって作成されており、年4回、フィットネス業界に対する消費者の態度と動向について、最新の情報を提供する。また、その情報はクラブスタッフたちにも、クラブをよりよくしていくための
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