May-June 2012 ◎ Fitness Business 60123Topics壁面についているので飛散しにくいですが、扉についているようなものはガラス同様にフィルムを貼っておくと安心でしょう。ガラスをポリカ、アクリ板に変更:強化ガラスでも割れれば飛散し、裸足では歩けない状態になります。割れない、飛散しない材料に変えましょう。2.器物転倒への対策 収納は低く:収納の高さは1.2m程度としましょう。フィットネスマシンについてはダンベルなど、重いものは低い位置に収納、転がり対策にも配慮しましょう。壁、床への固定:ロッカー、ファイルキャビネットなど、高さのあるものは壁に固定が必須です。その場合、壁に合板などの下地をつくり、その上で固定します。RCの壁なら問題ないですが、通常の壁やパーティションではすぐに壊れてしまいます。ファイルキャビネットなどは1つ倒れると連鎖的に転倒するため、被害が大きくなる可能性があります。転倒防止として、家庭でも使う「突張り棒」的なものは、軽いものには有効ですが、事務所のスチールファイルキャビネットなどは重量もあり、天井ごと壊れるため有効性は低いでしょう。落下物、転倒物への対策:スタジオでは、机の下など、落下物を避ける場所がないため、タオルやヨガマットで頭を保護することになります。それには外周にタオルラックをつけるなど、分散して置けるような配慮が有効になるでしょう。プールの排水対策:長期振動の揺れにより、プールの水は大きく揺れ、大量にあふれます。水は回収槽からもあふれ、機械室は浸水。ここに電気版がある場合はその浸水によるショートなど、被害が増大します。各部屋からのオーバーフロー的な水の逃げ場の確保、または水の集まる場所からのポンプアップ対策など、クラブごとの検討が必要です。プールからあふれた水がスタッフエリアを通り、ドライエリアにあふれることもあります。対策としては、地下鉄入口の防水帯のようにドライエリアとの仕切りに段を付けることも有効です。3.火災への対策 とにかく初期消火が大事です。・初期消火設備の点検と訓練・燃えやすい物を置かない・緊急停止装置の確認・電気系のショート対策4.津波による被害への対策まずは各クラブが津波による被害エリア内にあるか確認しましょう。そのうえで、例えば屋上に避難しやすくするために外階段を増設するなど、ソフトとの連携が減災のポイントになります。危機管理マニュアル、ハザードアクションの重要性:大きな災害にあった際は、ショック状態になり正常な判断ができなくなります。また、組織としての動き、上司への確認もできなくなります。初期動作はもちろん、事業継続のためにどのように動くのか、優先順位、やることリストなど組織としてあらかじめ マニュアル化し、日頃から意識して行動することが必要になります。5.業界としてできること避難施設として:クラブは公共性を併せもつ施設。震災時は帰宅難民の受け入れや、プール水の利用など避難所的な機能も果たせます。各クラブの地域性により、ぜひ検討しておいていただきたく、地域社会にその機能をアナウンスすることで存在意義もより高くなります。復旧対策:初期起動としては、インフラに頼らないシステムが有効です。例えば蓄電池、プロパンも利用できる自家発電、太陽光発電、風力発電など単体利用のできるシステム。さらにこれらのアイテムを災害対策だけではなく、日常は省エネ対策として利用するような施設設計が求められます。大地震が起こってからでは遅いのです。すぐにでも対策を行いましょう。震災直後のスポーツアカデミー石巻。外壁も大きなダメージを受けたプールも壁が落下イメージを変え、復旧したスポーツアカデミー石巻復旧後、オープニング時のプール
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